歌舞伎俳優・片岡仁左衛門(71)が重要無形文化財保持者(人間国宝)の認定を受けることが決まり、17日に会見を開いた。

 仁左衛門は1949年、大阪中座「夏祭浪花鑑」の市松役で本名の片岡孝夫として初舞台を踏み、人間国宝だった父の十三世片岡仁左衛門さんが得意とした「仮名手本忠臣蔵」の大星由良太郎など、多くの役を継承。98年に十五世片岡仁左衛門を襲名した。歌舞伎俳優として活躍する一方で、多くの現代劇にも出演し、広く知られた存在だ。

 仁左衛門は認定の一報を受けた瞬間、「えーっ」と驚いたそうで「他にもいらっしゃるので、私はまだまだと思っておりました。でも、正直な話、ありがたいお話だなと思いました」と笑顔を見せた。

 また、亡き父と同じ「人間国宝」になったことについて「父は『お前、みたいなので認定受けるのかと』思っているかもしれません。喜んでくれているのと、嘆いているのと2つ(の心境が)あるでしょうね」と笑わせつつも「親孝行できたなという気はあります」と胸の内を明かした。

 今後は人間国宝として、上方歌舞伎の後進を育てる役目も負う。

「各役者が自分に厳しくしていくこと。そして目先の客寄せに走らないこと」とあえて険しい道を進む重要性を説いた。さらに「会社には申し訳ないですけども不入りであっても基本をしっかり身につけてほしい。そのうえで、いろんなものに挑戦していくことが、今後の歌舞伎の隆盛には必要ですね」と展望を語った。

 気品あふれる立ち居振る舞いで“希代の色男”と言われた仁左衛門は「(重要無形)文化財の指定を受けても気負うことなく、これからも精進を重ね、歌舞伎がますます栄えるように努力していきたい」と決意を新たにした。