辻仁成 新作映画に“お騒がせ芸人”長井秀和を起用

2015年07月17日 06時00分

メガホン9作目の映画について語る辻監督

 作家でミュージシャンの辻仁成(55)が、監督9作目となる映画「TOKYO DECIBELS(トーキョーデシベル)」(来年公開予定)を製作することがわかった。俳優・坂上忍(48)の“秘蔵っ子”や、「フィリピン美人局事件」で甚大な被害に遭った“お騒がせ芸人”長井秀和(45)が悪役として出演。辻監督は「ひと目見たときから役者に向いていると感じていた。この映画で彼を再生させる」と長井の復活を宣言した。

 映画について辻監督は「今回はヒューマンドラマです。東京の『音の地図』を作る研究者と、その恋人である『調律師』が軸になって、展開されます。人間関係のズレを“音のズレ”で表現している。音のパズルが一つの仕掛けになっています」と明かす。主要キャストについては「主人公は3人。まだ名前は言えませんが、ダブルヒロインですね」と語る。

 音がテーマだけに、劇中の音楽担当にもこだわった。「LUNA SEA」や「X JAPAN」のギタリストであるSUGIZO(46)を起用。

「SUGIZO君の音楽も素晴らしい。映画にも出てもらいます。さらに尺八奏者の入江要介君にも協力してもらい、2人のコラボレーションで“和のテイスト”との融合も試みています」

 ブレーク中で子役指導もしている坂上には「物語の鍵を握る重要な子役を決定する際に力になってもらいました」(辻監督)という。坂上が「この子は持っている」とほれ込んだ逸材は鈴木優希ちゃん(11)。辻監督も「オーディションの時に、この子しかいない!と思った。ものすごく光るものを持っています。今後、大ブレークするでしょう」と大絶賛だ。

 坂上との出会いは、辻監督が女優・中山美穂(45)との離婚騒動後、芸能事務所「タイタン」に所属し、バラエティー番組に出演するようになった時だった。

「番組で隣に座っていたのが坂上君。芸能界の先輩として、いろいろと教えてもらいました。本当に人生はどうなるかわからない。あの騒動の時に僕はどん底状態だった。実は、この映画の脚本もその時期に書いていたんです。先日出版した小説『日付変更線』もその時期だった。脚本と小説を書くことで、何とか精神のバランスを保っていた感じでした。東スポが離婚騒動時にインタビュー記事を出してくれて、人生変わったからね。本当に感謝しています(笑い)」と辻監督は当時を苦笑交じりに振り返った。

 ユニークなのが、持ちギャグ「間違いない!」で一世風靡した後「フィリピン美人局事件」でどん底を味わった芸人・長井の起用だ。
「最初に会った時にものすごい負のオーラを感じました。『コイツはオレどころじゃないな』と思いましたよ」(辻監督)

 ただ、役者としての素質をすぐに感じたとも。

「素質は感じたけど、実力は未知数だった。でも、台本の読み合わせをやったら、すごい。悪役をやるために生まれてきたような男ですよ(笑い)。悪役で引っ張りだこになると思う。さらに宗教観もあるし、背徳的な感じも醸し出している。彼は事件に巻き込まれて悲惨な感じだったけど、それがこの映画にはピッタリだった」(辻監督)

 長井はライブで自身が信仰する宗教とその支持政党をネタにしている。

「ライブでのやけっぱちな感じも僕は好き。こういう男が一人ぐらいいてもいい。劇中『あのなぁ、説明できないことが世の中にはいっぱいあるんだよ』というセリフがあるんですけど、すごく板についています。そろそろ復活してもいいのでは!? これから僕の舞台や映画の悪人役には長井君を起用しようかと。武士の悪役も似合いそう。“辻斬り”とか得意そうじゃないですか。僕も背中から切られないようにしないと」(辻監督)と“長井復活”を宣言した。

 今作で辻監督は脚本、監督、編集とすべてを1人でこなす。

「これまで映画を撮ってきた経験が、やっと力となってきた感じですね。僕は『音』をテーマにした映画を撮る時は、自分の中でも勝負どころと思っていたので。日本だけでなく、世界にも見てもらいたい」

 波瀾万丈な人生を送る辻監督だが、エネルギーいっぱいのようだ。