本紙客員編集長のビートたけし(68)が14日、大阪市内のABCテレビで行われた特番「高校野球100年の真実~心揺さぶる真夏のストーリー~」(8月1日午後3時30分~、関西ローカル)の収録に俳優・谷原章介(43)と参加。野球少年だったたけしが高校野球への思いを語った。

 収録では「やまびこ打線」でおなじみの徳島県立池田高校野球部の監督だった蔦文也さん(享年77)が、太平洋戦争中に特攻隊員として出撃命令を受けながら、搭乗機が足りずに終戦を迎え、助かった命を野球にささげようと決意したエピソードなどが紹介された。

 その中で蔦さんは引退する3年生に向かって「今まで野球に勝てとしか言ってこなかったが、あれはウソや。全国制覇する1校を除いて、みんな負けるんが高校野球じゃ。これからの長い人生、勝ち続けるなんて無理や。大切なのは生きて生きて生き延びることや。人間、死んだらアカンのや。人生は敗者復活戦や。せやから、お前らもこれから負け続けても頑張れ」と話していたことも明かされた。

 それを聞いたたけしは「スポーツやったヤツは、何が自分の人生で役に立ったかというと負けることに慣れること。スポーツのいいところは勝つことの素晴らしさもあるけど、負けることに耐えられる人になれること」と負けの大切さを説いた。

 そんなたけしは1978年夏、仕事をズル休みして神宮球場で高校野球の予選を観戦。そのとき、代打で本塁打を放った早実1年の阿部淳一選手に衝撃を受けたという。「次の春の大会で4番打つだろうと思ったら、その年の冬にバイク事故で死んじゃった。惜しい子を亡くしたなと思う」と16歳で早世したスター候補生をしのんだ。

 多くの名場面を振り返ったたけしは「ノンフィクションには勝てない。映画でもないから何が起きても感動しちゃうんだよね」と筋書きのないドラマの面白さに改めて感嘆。一方で今年の甲子園の来場を司会から呼びかけられると「売り子で現れようかな。『アイツ、たけしじゃねえか』って言われようかな」と危険な予告をして笑わせた。