「芥川賞候補」ピース又吉 幻の処女作モデルがいた!

2015年07月15日 06時00分

又吉の小説モデルになるかもしれなかった難波麻人

「第153回芥川賞・直木賞」(2015年上半期)の選考と発表が16日に都内で行われる。芥川賞の候補6作品にはお笑いコンビ「ピース」又吉直樹(35)の「火花」も名を連ね、「本命」との声も出ている。その「火花」は、売れない芸人の先輩・後輩関係を描いたものだ。実は当初、又吉は別のテーマで処女作を書こうとしていた。そのモデルとなったのが、お笑いコンビ「キャラバン」の難波麻人(35)。又吉は難波に偽らざる心境を吐露していた。

 40万部を突破し、最近の出版界では異例の売れ行きとなっている「火花」は、お笑い芸人・徳永と彼が師匠と慕う先輩・神谷との交友を描いたもの。だが当初は、又吉の小説のモデル候補に挙がっていたのは中学の同級生だった難波だ。同じサッカー部に所属し、難波が主将、又吉が副将という間柄だった。

 そのころから2人とも文化祭でコントや漫才を披露していたというが、「でも『僕らが組んだらアカンよな』と言ってた。思考が似すぎてて。2人でネタ作って『すごい面白いのができた』と思ったのに、実際にやったら全然ウケなくて…」と難波は振り返る。

 芸人としては又吉が2年先輩。難波は大阪でデビューしたが、その後、東京に拠点を移した。そんな紆余曲折のあった難波に又吉は興味を持ったのだ。「又吉くんから取材みたいなのを受けたことがあるんですよ」と明かす。

「僕は芸人を始めたばかりのころ、大阪で結構、上の方まで行ったんですけど、その後コンビを解散したりして、うまくいかなくなった。それから東京に出てきて…。又吉くんは『いろいろ考えたり、体験してることがあるやろうから、そういうのを話してほしい』って言ってきたんです」

 普段は頻繁に会ってよく飲みに行くという2人だが、その時はいつも通りには話せなかった。「それこそ記者さんみたいな感じで、又吉くんがペンとノート持って、僕に聞くスタイルで…。『お前をモデルで書きたいから』って言うから、こっちも『えっ!』となった」

 取材はなかなか進まなかった。「やっぱり同級生なんで、お互いテレてしまってうまいこと話せなかった。又吉くんも、相手が後輩とか先輩とかならいろいろ聞けるんでしょうけど、僕に対しては、ツッコんだこと聞くのがテレくさかったみたい」。1~2時間ほど続いたが、最後は「また今度にしよか」と言って終わった。「そこからまたお酒飲んで酔っ払って、いつもの2人に戻ってしまいました」

 後日、又吉から「やっぱりこのテーマ、まだ早いわ」と連絡があったという。そうして又吉の周辺にいる先輩や後輩を描いた小説「火花」が出来上がったとか。

 当の又吉はというと13日、京都市内で行われたAGFのレギュラーコーヒーの新ブランド「煎」(9月発売)のPR会見に出席。芥川賞の発表を控え「緊張感もあるんですけど、怖さも楽しみもある。光栄なことやと思います」とコメント。さらに発表当日に向け、落選時も含めた「シミュレーションを2~3日前からしている」と明かした。

 ひょうひょうと受け答えした又吉だが、芥川賞について難波に対しては「そんなん取るの、技術的にムリや」って言っているという。

「まあ受賞しても、僕自身が又吉くんを見る目は変わらないでしょう。そもそも又吉くん自身、売れる前も売れてからも全然変わらない。彼が変わらないので、僕も変わらないでしょう」

 賞を取るも取らないも、作家としても歩み始めた又吉にとって、大切なのは次回作。真っ先に又吉が「書きたい」と思ったテーマは難波だった。次回作のテーマは決まり? 難波は「いや、どうなんでしょう? まあ何か、次回作を書くのは間違いないでしょうけど」。運命の発表はすぐそこまで来ている。