大泉逸郎の新曲は第2の「孫」になるか

2015年06月24日 10時00分

大泉逸郎(右)と作詞した渡部晃さん

 演歌歌手・大泉逸郎(73)が22日、埼玉県加須市の交流広場「双葉せんだん広場」で新曲「爺(じーじ)の海」のお披露目会を行った。

 この曲は2011年の東日本大震災で、原発事故により福島県双葉町から加須市に避難した渡部晃さん(68)が、故郷の海に思いを寄せて12年1月に作詞したもの。同年5月に作曲を依頼された大泉は、妻の伸子さん(71)が同県南相馬市の出身ということもあって承諾。CD化されることになった。

 双葉町出身者や地元のファン約100人の前で、新曲のほかヒット曲「孫」など7曲を熱唱した大泉は「女房の実家の南相馬も行ったが、津波で何もなくなってしまった。でも、以前の美しい情景は歌の中に永遠に生き続ける」と語った。

 また発生から4年が経過し、震災の記憶が風化することを心配し、「この歌を歌い続けて、現状を伝えていきたい」と新たな決意も示した。

 この曲が初めてCD化された時はプライベート盤、いわゆる自主制作盤だった。出来上がったCDを福島県いわき市の仮設住宅などに送ると口コミで広がり、全国にいる双葉町出身者の間で人気を呼んだという。今年1月にNHKのラジオ番組で紹介されるとさらなる反響を呼び、5月に大泉の新曲として発売する運びとなった。

 発売から1か月がたち、「現段階で1万枚ほど売り上げている」とテイチク関係者は明かす。今の演歌界ではヒットといえる売り上げだ。もともと大泉には、プライベート盤から大ヒットにつなげた実績がある。その一枚が、デビュー曲にして大ヒットを記録した「孫」だ。

 音楽関係者は「『孫』もそうですが、近年では福田こうへいの『南部蝉しぐれ』もプライベート盤から出たヒット作品。演歌では、何年かに一度はプライベート盤からヒット作が出る」と指摘する。大泉にとって「爺の海」が第2の「孫」となるか?