坂本一生が告発 NHKドキュメンタリー番組で“やらせ”

2015年05月09日 07時30分

“やらせ”を告発した坂本一生
“やらせ”を告発した坂本一生

 また“やらせ問題”か!? 報道番組「クローズアップ現代」での“過剰な演出”で、担当記者らへの懲戒処分が7日に発令されたばかりのNHKをめぐり、新たな告発が飛び出した。別の番組で取材対象者側の作為的行為による「“やらせ”があった」というのだ。告発者は、取材対象の関係者だったタレントの坂本一生(44)ら。「ドキュメンタリーでウソは許されない。NHKが全く真偽を確認しないまま企業の誇大広告を垂れ流したようなもの」と本紙に、番組のからくりを洗いざらい明かした。

“やらせ”があったというのは、企業や店を3日間“定点”で追いかけ、現代の人間模様をあぶり出すNHKのドキュメンタリー番組「ドキュメント72時間」(金曜午後10時55分)。坂本自身が3月まで取締役を務めていた「便利屋!お助け本舗」を取り上げた「便利屋、都会を走る」(今年2月13日放送)の回だ。

 これまでは知名度を生かして坂本が「いきなり!黄金伝説。」(テレビ朝日系)や「スクール革命!」(日本テレビ系)など数々のバラエティー番組に出演し、同社の宣伝をする広告塔の立場だった。

 坂本は本紙と一部週刊誌に「今回、僕は(その番組には)出演しなかったが、番組で紹介された依頼内容のほとんどが“やらせ”で、登場した依頼主の家は過去に私が番組のロケで何度も訪れた同社代表の奥さんの実家なのです。バラエティー番組での多少の仕込みは許容できても、ドキュメンタリーでウソは許されない。NHKが全く真偽を確認しないまま企業の誇大広告を垂れ流したようなもの」と告発を決意した経緯を説明した。

 密着取材は昨年12月5日午後から8日午前までの72時間。お客の要望で、風呂場に出たナメクジ駆除、結婚記念日に妻に贈るケーキの購入代行、ケガした主婦の大掃除代行、犬の散歩代行などの依頼内容に出向く便利屋の仕事に密着した内容だった。

 だが、現場に同行した関係者は本紙に「夜中に依頼電話がかかってきたナメクジ駆除も仕込みです。従業員が調達した2匹のナメクジを撮影前に風呂場にセッティングしたんです。NHKカメラマンに『こんなキレイな風呂にナメクジが出るんですねぇ』と聞かれて言葉に詰まりました。窓もないのにどこから侵入したのか(苦笑)」と明かした。

 取材を受ける側がやらせをしていたというのだ。では、取材したNHK側は、それを知っていたのか。取材クルーは1班5~6人からなる2班態勢で密着取材した。

 前出の関係者は「NHKから“こういう絵が欲しい”などと指示されたことはない。ですが、ある従業員が依頼を終えて事務所に戻ると、別の従業員が“依頼”されたというジグソーパズルを完成させており、NHKはずいぶん効率よく絵が撮れておいしいとは思ったはず。実際には12月に依頼の電話がジャンジャン鳴ることはないし、ジグソーパズルの依頼なんてまず聞いたことがない。便利屋の事務所には24時間、定点カメラ2台が設置されていたので、その映像と音声を確認すれば、こちらでやらせを指示する様子にもNHKは気がつく部分もあったと思う」という。

 坂本は責任を感じている。自身が広告塔となってフランチャイズに加盟した人々がいたからだ。バラエティー番組では取締役で「年収2000万円」と語っていたが、取締役とは名ばかりで実際は月給数十万円だった。

「加盟店に対する搾取などの社内的問題でたまりかねていたところにNHKの番組が放送されて、これ以上“ウソ”の広告塔に利用されるのは嫌だと会社を離れることにした」(坂本)

 本紙は7日、NHKに現場で撮影した映像素材の真偽のチェック態勢、取材したディレクターへの聞き取り結果について聞いた。

「番組は、都内の『便利屋』を3日間取材したもので、同行して作業を撮影させていただくこと以外、何のお願いもしておりません」(NHK広報部)というだけだった。

 疑惑を向けられた「取材班は従業員のやらせをわかったうえで放送したのではないか」という肝心の部分への回答は得られなかった。
「便利屋」はドキュメンタリー番組にもずいぶん便利な存在だったというしかない。

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