ゴールデンウイークの人出を誘うゴジラ頭部オブジェの出現で、“新宿シネコン戦争”が勃発した。東京・新宿区歌舞伎町の映画館「TOHOシネマズ新宿」(以下、TOHO)が、都内最大級規模で4月17日にグランドオープン。既存のライバル館とバッチバチに火花を散らしている。上映作品をめぐり配給会社に“プレッシャー”をかける事態にもなり、ついには大人気のスポーツキャスター松岡修造氏(47)の実兄まで“参戦”したそうで――。

 東宝系の映画館であるTOHOシネマズは、2300超の席を設けた都内最大級規模を誇る。同館などが入る複合商業ビル「新宿東宝ビル」の8階屋外テラスに先ごろ「ゴジラヘッド」が出現したのは周知の通り。実物とほぼ同じ高さ12メートル、重さ80トンのゴジラの頭は、新宿・歌舞伎町の新たなランドマークとなり、関係者によれば「観客の入りは好調」と映画にも好影響をもたらした。

 そのゴジラの出現を号砲に、映画の街・新宿で“シネコン戦争”が勃発している。バトルを繰り広げるのはTOHOと、昨年度の年間観客動員・興行収入が全国1位の松竹系「新宿ピカデリー」(以下、ピカデリー)、そして東映系の「新宿バルト9」(以下、バルト)。新宿エリアのトップ3館だ。

 映画関係者は「3つのシネコンの中でも特にTOHOは全国1位のピカデリーを倒すべく強烈にライバル視している」としてこう明かす。

「TOHO幹部は中堅配給会社に『お宅の作品がピカデリーとかで上映されたなら、今後お宅の作品をウチで流すのは厳しくなるかもしれない』とプレッシャーをかけているそうだ。中堅配給会社はTOHOにニラまれたら次の作品を上映してもらえなくなるから、完全にビビっています」


 それに屈しなかったのが同じ東宝グループで、海外作品を日本で配給する「東宝東和」。同社の松岡宏泰社長は、松岡修造氏の実兄としても知られる。同社は、配給する米映画「ワイルド・スピード スカイミッション」(公開中)に社運をかけている。

「だからより多くの人に見てほしい。ナンバーワンの集客を誇るピカデリーでの上映も望んでいた。だけど『ワイルド――』は当初、新宿エリアではTOHOとバルト、角川シネマの3館で上映予定だった。どうやらTOHOが“ピカデリーを外してほしい。客を奪われる”と横ヤリを入れたみたい。これに対し“修造兄”の宏泰社長は『それはおかしい!』と弟譲りの熱弁で自ら関係各所に直談判。結局、新宿エリアではTOHO、バルト、ピカデリーの3館での上映で落ち着いたんです」(芸能関係者)

 新宿のシネコンでは、ゴジラもビックリの駆け引きが繰り広げられているようだ。