2015年春の褒章が政府から29日、発表され、落語家の桂文枝(71)が旭日小綬章を受章した。文枝は「私にとって特別な『章』になりました」と感慨深く語った。

 文枝は1966年に桂小文枝(五代目・文枝)さんに入門。三枝の名でテレビなどで活躍する一方、創作落語を作り続け、ライフワークとしている。12年には師匠の名跡である文枝を襲名した。

 受章に先立ち、会見した文枝は3月19日に亡くなった上方落語の大看板の桂米朝さんへの思いを語った。受章の報告を受けたのは、19日の新幹線の中だったという。

「非常にうれしいんですけど、ちょっと喜んではいられないなと思った」と振り返っていた。ただ、「運命のようなものを感じた。『しっかりやれよ。あとを頼むぞ』と言われているように受け止めている」と遺志を継いで上方落語のさらなる発展に尽力することを誓った。

 米朝さんは戦後、衰退した上方落語の復興に力を注いだ。文枝は「米朝師匠は古典落語を復活させた。私は次の時代に残る落語を作っていかないと、と思った」など、自らの代名詞とも呼べる創作落語への思いを語った。

 文枝は30日に上方落語の定席「天満天神繁昌亭」で250本目の創作落語を披露する。

 大きな節目に文枝は「創作落語300本を目指してやっていく。タイプの違う落語も作っていく」と、古典落語の本格挑戦や創作落語の英語版などの夢も語り向上心を見せた。