人気俳優・萩原流行さん(享年62)の衝撃事故死から一夜明けた23日、警視庁は本紙昨報通り、警察の護送車が事故に関係していたことを認めた。自動車運転処罰法違反での過失責任が調べられているが、萩原さんはここ1~2年に起こした複数の交通事故で「警察で散々やられて、ちょっと参ってました」とまゆ美夫人は怒りをのぞかせた。一体どういうことなのか? 警察車両の“関与”を知った遺族は、警察への不信感が募っているようだ。

 警視庁杉並署によると、東京・杉並区内の青梅街道で片側3車線の最も左の車線を走っていた高井戸署の護送車が、路上駐車の車をよけるため車線変更したところ、中央車線を走っていた萩原さんのバイクが転倒し、護送車の前輪付近に接触した。萩原さんは最も右の追い越し車線に投げ出され、会社役員男性(59)の車にひかれた。萩原さんが護送車をよけようとして転倒した可能性があるとみて、同署は自動車運転処罰法違反の疑いで護送車の運転手らから事情聴取した。萩原さんのバイクは猛スピードだったとの一部報道もあったが、事故関係車両はみな、数十メートル手前の信号が赤から青になり、走りだしたばかり。

 萩原さんをひいてしまった車の後ろを走っていたバンの男性(52)によれば、萩原さんのバイクはせいぜい「時速50キロぐらい」だったという。
 青梅街道の制限速度は時速60キロで、スピードオーバーではなかった。

 事故当日の22日、萩原さんはバイクで、まゆ美夫人(62)は車で同時に外出した。

「私はたまたま見送って『気を付けて行くのよ』って言ったら『うん』って笑顔を返したんですね。それが最後」となってしまった。雨の日はバイクに乗らない萩原さんだったが、四谷の行きつけの美容院へ向かう途中「たまたま運が悪く、雨が降ってきてしまって…というふうに私は受け止めています」

 だが、23日朝にそう話した後、まゆ美夫人は、杉並署で初めて護送車両の車線変更が事故と関係していたとの説明を受けた。午後8時すぎに帰宅し、報道陣に気丈にこう語った。

「説明を受けたばかりで、捜査には時間がかかるかもしれないとのことでしたので、今はお話しできないが、徹底的に調べていただきたい」

 萩原さんはかねて「気持ち的に警察で散々やられて、ちょっと参ってました」と夫人。どういう意味なのか?

「散々やられて…」というのは、一昨年1月の事故のことだという。萩原さんが乗用車を運転中に自転車との接触事故を起こしたと報道された。まるで萩原さんの不注意で人身事故を起こした印象だが、まゆ美夫人は事実と異なると主張した。その証拠に萩原さん側の過失はゼロだったという。

「人身事故を起こしたみたいに言われましたが、刑事罰も民事罰もまったく受けてないんです。荻窪警察が現場検証してるんですけど、検察に行ったときに『これじゃ分からない』と、検事さん自ら状況の検査をしてるんですよ」

 これは、所轄の荻窪署の調べが検事の目には、ずさんに映ったということだ。

「荻窪警察にとっては不名誉で面目丸潰れです。ウチは全く責任のない事故をバイク(自転車)転倒とセットにされて流されたら『萩原はメチャクチャな運転してるぞ』みたいな印象をどうしても与えてしまいます。人身事故となるとやっぱりぶつけた方が悪いってみんな思うんですが、今は(道路)交通法を守らない自転車もあって、そういう事故もいっぱい起こってますので…」(夫人)

 今年3月、萩原さんがバイクで転倒して負傷した自損事故とあわせて、立て続けの事故と報じられてからは特に「もう何しろ安全運転よ。今何か起こしたら叩かれるだけだよ」と萩原さんに言い聞かせ、本人も「ちゃんと安全運転で行くから」と約束していたという。

 萩原さんのこれまでの事故に関する警察発表には「ウチとしては納得できないというとこがあって(主人は)フラストレーションも相当たまってたと思うんですね」とも漏らしたまゆ美夫人。

 なお、葬儀については「30年前から遺言書があって、一切(死を)公表するなと言われていた。葬式でいろんな方に来ていただくのもうれしい半面、騒がれたくない気持ちもあり、本人が休めるように密葬にしたい」とまゆ美夫人は話している。