「加瀬邦彦&ザ・ワイルドワンズ」のリーダーで音楽プロデューサー加瀬邦彦さん(享年74)が21日に都内の自宅で自殺したことを受け、メンバー3人が23日、加瀬さんをしのんだ。

 都内で行われた会見に出席した植田芳暁(67)は「ある意味、加瀬さんの美学。デジタルな時代だけど、お客さんと触れ合うライブを何より大事にする人だった。体調が優れず、精神的に不安定になり思いつめてしまったのかなという想像はできる」と述べ、舞台に立つことにこだわり続けた結果の死ではないかと推測した。

 加瀬さんに自身の仲人をしてもらい、現在も家族ぐるみで親交があった島英二(67)は先週15日に加瀬さん宅を訪問。昨年に下咽頭がんの手術をしてから療養中だった加瀬さんに体調を聞くと、にこやかな顔はしたものの「遠くを見つめているような感じもあった」と振り返った。

 鳥塚しげき(68)も含め、3人とも会見開始時は沈痛な面持ちだったが、生前の「おちゃめないたずらオヤジ」(島)、「ヤンチャ坊主」(植田)としての加瀬さんの姿を回想するうち、笑みもこぼれた。

 4人は毎年、箱根やサイパンに遊びに行くなど、他のバンドからも「お前らなんでそんなに仲良いの?」と珍しがられる。

 鳥塚は「当時のバンドマンのあしき風習は一切やらず、新しいバンドにしようとしていた」「みんなで函館にスキーに行ったり、清里でテニス大会をやったり、常に遊びが(音楽の)外にある人だった」と加瀬さんの人となりを語った。