人気司会者・愛川欽也さん(享年80)の訃報が駆け巡った17日、芸能界の仲間たちからしのぶ声が上がった。“キンキン”の愛称で親しまれた愛川さんは番組でのアドリブに見える言動も事前に細かい打ち合わせをしっかりする“マメ男”だったという。


 1981年開始の「なるほど!ザ・ワールド」(フジテレビ系)でコンビを組んだ楠田枝里子(63)は「直撃LIVEグッディ!」(同)に出演。身長175センチの楠田は167センチの愛川さんのため「司会者席でイスに座っていた」と明かした。


 同番組は解答者席まで愛川さんが行き、不正解だと「はい、消えた!」とテーブルを叩き「×印」が点灯する光景が人気だった。フジ関係者によると、愛川さんの合図でスタッフがブザーを鳴らし×印を点灯させていたが、このタイミングを何回も練習したという。


 ある時「机に何か仕掛けがある」と思った解答者が、テーブルを叩かせないようにしたことも。


「その時、愛川さんは『ダメ~』と息を吹きかけて×印を点灯させて解答者を驚かせた。これも念入りに打ち合わせたもの。普段から周囲との和を大事にし率先して飲みに誘うような人だった」(同)


 亡くなる直前まで司会を務めた人気番組「出没!アド街ック天国」(テレビ東京系)でも念入りな打ち合わせで長寿番組に育て「情報テレビ番組の最高齢の現役司会者」としてギネス認定もされた。


 愛川さんは司会者として人気者となっても、芝居を忘れることはなかった。2000年には長年の夢をかなえ「劇団キンキン塾」を旗揚げ。09年には私財を投じ、東京・中目黒に「キンケロ・シアター」をオープンした。


 還暦を過ぎて構えた“自分の城”には愛川さんが制作に携わった舞台やドラマのポスターが誇らしげに飾ってある。最後まで人を愛し、そして愛された。