歌舞伎町にゴジラが“出現”した。東京・新宿の歌舞伎町にグランドオープン(17日)する新宿東宝ビル8階屋外テラスに設置される「ゴジラヘッド」のお披露目式が9日、行われた。

 ゴジラヘッドが設置されているのは地上52メートルの高さ。ヘッド部分は高さ12メートル、重さは約80トン。ほぼ、実物大だという。道路から見上げると、まるで本当にゴジラが歌舞伎町に現れたような気分が味わえる。

 お披露目式前のセレモニーでは、ゴジラに「特別住民票」と「新宿観光特使任命書」が授与された。新宿の吉住健一区長(42)は「歌舞伎町の新たなシンボルになってほしい。ゴジラに壊された街は発展すると聞いている。新作では歌舞伎町を舞台にしてほしい」と話した。

 近年、外国人観光客の増加に伴い、歌舞伎町も観光スポットの一つとして人気が高まっているだけに、ゴジラはランドマークとしても最高のコンテンツだ。だが、歌舞伎町は、ぼったくりなどの危険も隣り合わせの街。国内外からの観光客が増えれば、当然リスクも増加する。ゴジラビル周辺は比較的安全だが、一歩奥へ入ると危険も多い。

「歌舞伎町は細かい縄張りがある。普通の人間が見たら単なる『道路のひび割れ』が“境界線”ということもある。取り締まりも厳しくなっているが、目の前のカモを指をくわえて見逃すバカはいない。新宿2丁目やゴールデン街が観光地化し、そこに流れる観光客も増えており、その客を奪おうとシマ争いも増える」(歌舞伎町でのキャッチ経験者)

 行政側も歌舞伎町浄化に日々取り組んでおり、一時期よりはマシになったが、簡単に「オールクリア」と宣言できないのが実情だ。一方で「東宝ビルの成功が歌舞伎町にさらなる投資を呼び込む。そういう意味で、行政側や歌舞伎町周辺で商売を営んでいる人間からすると、確実に成功させたいところでしょう」(不動産関係者)

 いっそ、ゴジラが1度全て破壊したほうが新しい秩序作りはたやすいだろう。吉住新宿区長の発言は本音かもしれない。