台湾の検察当局が23日までに、映画「影武者」などに出演した俳優、隆大介容疑者(58)を傷害などの疑いで拘束した事件で、隆容疑者はマーティン・スコセッシ監督の最新作に出演するため訪台していたことが分かった。しかし、「映画製作側は出演契約を即日解約した」と複数の台湾メディアが報じている。

 当局や地元メディアによると、隆容疑者は21日、日本から台湾の桃園国際空港に到着しようとした際、入境カードへの記入や酒気検査を求めた職員のヒザを蹴り、骨折させた疑い。酒に酔っていたとみられる。

 台湾では「韓国籍芸人・隆大介、本名・張明男が入国審査で大暴れ」などと大きく報道されている。巨匠「馬丁史柯西斯(マーティン・スコセッシ)」監督が25年もの構想を経て、遠藤周作の「沈黙」を映画化し、撮影現場が台湾ということで大盛り上がりだった。しかし、「小さな役」の隆容疑者が事件を起こしてしまった。

 複数の台湾メディアは「この映画では、1月末に台北市内の撮影スタジオでセットの建物が崩れる事故が発生し、作業員が1人死亡。1月30日に予定されていたクランクインは延期された。今回の隆容疑者の事件で、またもや横やりが入った」などと報じている。

 現在、隆容疑者の公式サイトは削除されている。隆容疑者は故黒澤明監督の「影武者」(1980年)の織田信長役で、ブルーリボン賞新人賞を受賞。NHK大河ドラマに多数出演。昨年公開された映画「幕末高校生」や、観月ありさ主演のテレビドラマ「出入禁止の女~事件記者クロガネ~」(テレ朝系)の最終回に出演するなど、貴重な脇役として活躍していた。