“筆談ホステス”政界へ 銀座ナンバー1の経験生かす

2015年02月25日 07時30分

出馬する斉藤さん

 耳が聞こえないハンディを乗り越え、銀座でナンバーワン・ホステスの座に輝いた“筆談ホステス”こと斉藤りえさん(31)が政界に進出することが23日、本紙の独占取材で明らかになった。4月の統一地方選挙で斉藤さんは、東京都北区議会議員選挙(4月19日告示、26日投開票)に「日本を元気にする会」(松田公太代表)公認候補として出馬することが判明。声を出すこともままならない斉藤さんは、一体どんな選挙戦を繰り広げて、有権者に支持を訴えていくのか?

 斉藤さんは選挙戦で、「バリアフリー社会」「女性の社会進出」「少子化、育児」を中心に支持を訴えていくが、自身の聴覚障害者としてのハンディを政治の世界でどう乗り越えていくつもりか。本紙記者との筆談インタビューに応えてくれた。

「私自身が聴覚障害者であり、女性であり、母親でもあります。『耳が聞こえなくては議会活動ができないのでは?』と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、これだけ技術が進歩した現代において“聞こえないこと”は、必ず乗り越えられると思います。受け入れる議会側は現在、聴覚障害者を前提とした仕組みがありませんので、その変革に最初はご迷惑かけるかもしれませんが、議会から本当の『障害者へのバリアフリー』が起こること自体にも大きな意義があると思います」

 斉藤さんは“筆談ホステス”として銀座でナンバーワンに上り詰めた経験を政治家としても生かしていきたい意向を持っている。

「私が(銀座でナンバーワンになれたのは)ホステスとして働かせてくれた環境があり、サポートしてくれた方々がいたから実現したことです。私のように働ける環境に恵まれれば活躍できる障害者もたくさんいると感じますが、障害者と認識されてしまうとその機会に巡り合えないのが現状。活躍するためには、社会の認識を変えて、サポートできる環境を働きかけていく必要があると考え、その役割を私が担いたいと考えています」

 選挙戦といえば、候補者がマイクを力強く握り有権者に支持をお願いするのが定番。斉藤さんの場合、耳が聞こえないだけでなく、声を出すこともできないハンディを背負っている。

「私は声を出すことがほとんどできません。区議選ではチラシ(広報誌)を配ることができないので、言語・聴覚障害者は最初から排除されているのではないでしょうか。こうした現状の仕組みに警鐘を鳴らす意味でも、新しい選挙のやり方をします。『音を一切使わない選挙』はいいかもしれません。広報誌が配れないという制約の中、どこまで文字や文章で(有権者に)アピールできるか、選挙管理委員会ともルールを確認しながら、模索していきます。もちろん、有権者からの質問には、筆談でしっかり答えていきます」

 無所属でなく松田代表率いる「日本を元気にする会」から立候補を決めた理由については「政治屋や職業議員ではなく経済人と実務家など現場の感覚に近い知恵を持つ者、たとえ政治家でなくても日本や地域に貢献できる手に職を持った気概を持ったメンバーで構成されていたことが大きかったです」と説明した。

 同党は25日に斉藤さんを公認候補として正式発表するが、前代未聞の選挙戦はどう受け入れられるのか。 

☆さいとう・りえ=1984年2月3日生まれ。青森県青森市出身。1歳10か月の時に髄膜炎にかかり、なんとか命は取り留めたが、後遺症で聴力を失う。その後、19歳で接客業の楽しさを知り夜の世界に飛び込み、筆談で会話する手法を思いつき“筆談術”で青森の複数の店でナンバーワンになる。その後、上京して銀座のクラブで働き成功。自身が銀座でナンバーワンホステスになっていく姿を描いた「筆談ホステス」(光文社)を出版するとベストセラーになり、テレビでドラマ化もされた。