世界最大のプロレス団体「WWE」で日本人初のディーバとして活躍し、プロレスラーKENSO(40=全日本プロレス)の妻でもある鈴木浩子氏(41)が政界を目指すことが19日、本紙の取材で明らかになった。春の統一地方選で、地元の千葉・船橋市の市議選(4月19日告示、26日投開票)に立候補することを表明したもの。政界への夢を抱いた理由には「ゲイシャガール」として鳴らしたWWE時代の体験があった。

 鈴木氏は1月初旬、政治団体「鈴木ひろ子と船橋の未来を語る会」を設立。3歳の息子を持つ母として、市民から子育て支援を求める声などを集めている。KENSOも試合とトレーニングの合間を見つけて街頭演説にかけつけ、夫婦二人三脚で政治活動を行っている。

 鈴木氏は「船橋市議選に出馬? はい。もともと政治には興味がありました。妊娠して帰国するまで7年、海外で生活してきました。向こうの子供たちに当たり前のことが、日本で子育てをしていると全然してもらえない。そういうところを変えていきたいのが理由の一つでした」と説明した。

 KENSOとともにWWEでは「ゲイシャガール」として活躍した鈴木氏にとって、当時の光景が今でも忘れられない。毎週行われるテレビショーには子供たちが無料招待され、またトップ選手たちも慈善団体や養護施設への慰問を積極的に行っていた。子供たちが「アンダーテイカーに『お前はスーパースターになれるかも』と言われたよ」「ビッグショーが『いい目している』って言ってくれた」と無邪気に話す姿が印象的だった。

「船橋は立地を考えると都心に近い。相撲部屋もあるし、野球場も近い。そういう機会を与えることはさほど難しくないと思うし、さほどおカネを費やさないといけないことでもないと思う。その中から『将来はプロ野球選手になる』とか大きな夢を抱いてくれると思う」と力説した。

 理想とする“政治家”像もある。なんとWWEのビンス・マクマホン会長(69)だ。「ピンチこそチャンスを地でいく会長でした。失敗することがあれば『じゃあ浩子、こうやればいいじゃん』というのが数秒で返ってくる。人を使うのが上手だし、とにかく早い。だから事がドンドン進む。本当にそういう意味でビンスさんは“政治家”でした。社会を動かすってこういうことなんだなって」

 船橋市議選の定数は50で約70人の立候補が予想される激戦区。だが、厳しい政界を生き抜く自信もある。「勝算? ハルク・ホーガンいわく『NEVER SAY NEVER』ですね。誰にも分からない。プロレスで学んだ発信力は生きると思うし、心が折れることがたくさんあるけど、多少のことではめげないですね」。KENSOも「プロレスができるのは妻のおかげ。全身全霊で支えていく」と約束した。

 最後に人気が再燃してきたプロレス界について鈴木氏は「プ女子(プロレス女子)がすごくて、いい傾向だなと思います。人気があると客層が広がってくるし、受け入れる会社も切磋琢磨する。もっとブームがくると、ここから10年先、20年先のプロレスが変わってくるんじゃないですかね。一時期のブームに終らせないでほしいです」とエールを送った。

☆すずき・ひろこ=1974年2月14日生まれ、千葉・船橋市出身。明大卒業後、福島中央テレビのアナウンサーに。2003年にKENSOと結婚。04年にWWEと日本人初のディーバ契約を結び、「ゲイシャガール」の名で活躍。ハッスルではGMを務めた。英語とスペイン語に堪能で、エッセイも出版。船橋市の市議選には無所属で出馬予定。