ヒット連発!テレ東プロデューサーの“ドM発想術”

2015年02月23日 10時30分

テレビ東京・濱谷氏

 どんな仕事をしている人でも一度は、「何かいい案ないかな?」とアイデアを求められたことがあるだろう。そんなとき、予算や日時といった制約があると、ついつい「条件が厳しいよ…」と弱音を吐いてしまいがちだが、実は“縛り”が多いほどアイデアを機械的に生み出せるらしい。ヒット連発のテレビプロデューサーが明かす“ドM発想術”とは!?

「制約が多いほどアイデアが浮かびます。より正確に言えば、数多くのアイデアを生み出すために、僕は自ら制約を作っていますね」
 こう断言するのは、テレビ東京の濱谷晃一氏(37)。ここ1年の間に、「俺のダンディズム」「ワーキングデッド」「太鼓持ちの達人」などオリジナル企画のヒットドラマを次々と生み出し、ついには「テレ東的、一点突破の発想術」(ワニブックスPLUS新書)という本まで出してしまった敏腕プロデューサーだ。

 確かに、テレビ東京=低予算というイメージは視聴者にも浸透しているが、近年はそれを逆手に取ったヒット番組も数多い。

「予算が多ければ大物タレントを呼んだり、セットを豪華にしたりすることもできるでしょう。でも、予算がないと、そうした王道には進めず、変なアプローチをせざるをえなくなります。その結果、斬新に見える企画が生まれているんです。やっぱり『新しさ』というのは企画やアイデアにとってすごい力ですから!」

 なるほど、「史上初」「前人未到」というキャッチフレーズはおのずと視聴者をワクワクさせる魔法の言葉だ。とはいっても、その新しい何かを考えることが凡人には難しい。机の前でうんうんうなっても、せいぜいアイデア5~6個が関の山だ…。

「ですよね。僕も凡人なので、唯一無二のひらめきには頼れない(笑い)。だからこそ、アイデアが機械的に浮かぶような思考回路を持つことが大切なんです。そして、そのひとつが“フォルダ分け発想術”。自由気ままに発想するのではなく、考えるための大枠と中枠という制約を自分で設けるんです」

 例えば、濱谷氏が子供番組の企画を考える時は、以下のように発想していくという。

「過去の子供番組の現代版を考えてみようという切り口を大枠にする。『ポンキッキーズ』『ウゴウゴルーガ』などを挙げていき、それが中枠になる。さらに『カリキュラマシーン』(1974~78年放送の子供向け教育番組)に倣うなら、『国語』『算数』など科目別にコーナーを考えていく。これが小枠です。そして、その“フォルダ”の中に昆虫採集サバイバルバトル、ラップで覚える歴史上の人物など小枠ごとに思いついたものを書き出していく。それが一通り済んだら、今度は『お笑い番組を子供番組にアレンジするなら』と別の大枠を作って再びアイデアを書き出していきます。あっという間に100個になりますよ」

 なるほど、これなら掛け算で企画の数が増えていくし、頭があれこれ考えすぎて迷子になってしまうこともない。

「もちろん、各アイデアのクオリティーにばらつきは出るでしょう。でも、僕は質より量で勝負するタイプですし、量をこなすと質も少しずつアップすると思います。また、この発想法を習慣化することで、『制約があって当たり前』と楽しめるようになります。正直、『1億円を自由に使っていいから新しい番組作って』なんて言われるほうが僕は不安になります(笑い)」

 ここまで言われると、濱谷氏が極端にマゾヒスティックな性格なのではないかと疑いたくなるが…。

「うーん、どちらかといえばMな気がしますね。本を書くことになって年末年始も一切休めませんでしたから。僕の場合はとにかく『面白い』って言われたい気持ちが原動力です。何より企画を通すと仕事が自分事になる喜びがありますよ」

 あなたも仕事をより楽しくするために、この“ドM発想法”で今までにないアイデアを出してみては?