サザンオールスターズ・桑田佳祐(58)の謝罪にショックを受けている人たちがいた。桑田は昨年の年越しライブでのパフォーマンスを謝罪。17日のラジオ番組で自ら真意を説明することまでした。大きな批判は紫綬褒章をめぐるやりとりに集中したが、楽曲「ピースとハイライト」の歌詞にも物言いがついた。

 ヘイトスピーチ規制に動いているある野党国会議員は「謝罪する必要なんかなかったのに。サザンとしてというより、事務所として謝罪をしたかったんじゃないかな」とぼやく。

 同曲が発売されたのは2013年8月。日本でヘイトスピーチが問題となり始めたのは同年春ごろだった。「何気なく観たニュースで お隣の人が怒ってた」「硬い拳を振り上げても 心開かない」といった歌詞から、ヘイトスピーチ問題を連想する人が多かった。また、サザンのライブでヘイトスピーチのデモをする映像が使われたことも「サザンは反ヘイト派」という印象を後押ししていた。

 所属事務所と桑田が連名で出した謝罪文には、「特定の団体や思想等に賛同、反対、あるいは貶めるなどといった意図はございません」と説明してある。さらに、桑田は17日のラジオで同曲についてこう語っている。

「これについて私の意図とは違う解釈をされていることに驚いています。この曲は一昨年の夏に発売して、歌詞は春に作りました。集団的自衛権が話題になる前のことで、東アジア全体で起こっている問題として作った歌詞です。二度と戦争が起きないように仲良くやっていこうよ、という思いを込めたつもりなんです」

 桑田の想定外の解釈とは「都合のいい大義名分(かいしゃく)で 争いを仕掛けて裸の王様が牛耳る世は…狂気」の部分。これが集団的自衛権の行使容認を憲法解釈の変更で済まそうとする安倍晋三首相(60)を批判したとされたのだ。「それこそが都合のいい解釈」(桑田)だった。

 法務省は啓発強化のため19日から全国に「ヘイトスピーチ、許さない。」と書かれたポスターを配った。前出の議員も「こんなことで謝罪をしなくちゃいけない世の中はおかしいですよ」と語る。