全国10の映画祭のディレクターが選考した結果をもとにビートたけし審査委員長(67)が独断で選ぶ「第24回東京スポーツ映画大賞」のノミネート作品・俳優らが6日、決定した。この結果をもとに今月下旬、たけし委員長が最終ジャッジを行い「第15回ビートたけしのエンターテインメント賞」と併せて本紙紙面で発表する。授賞式は2月22日、都内のホテルで行われる。


【作品賞】「そこのみにて光輝く」がトップ。「底辺に暮らす人々が見つけるかすかな希望に悲しくてうれしい気持ちになりました」(SKIPシティ国際Dシネマ映画祭)。「現在の日本映画の振り幅ギリギリの世界を見せてくれた。また、過酷な命運を絶望的に生きる人々の生と性が、北国の短い夏を背景に、つらく、哀しく、美しく、濃密な映像で捉えられていたことも特筆に値する」(うえだ城下町映画祭)と頭一つ抜け出している。「紙の月」「百円の恋」などが続く。

【監督賞】作品賞トップの「そこのみにて光輝く」の呉美保監督(お・みぽ=37)が1位。「複雑な人間関係の交錯を感傷抜きに取り上げた力量」(とよはしまちなかスロータウン映画祭)と、実力を絶賛する声多数。2位には「紙の月」の吉田大八監督(51)。「悪に手を染めながらも、次第に妖艶に、そして美しくなっていくさまは見事。周辺の人々の丁寧な演出がまたそこを浮かび上がらせている」(周南「絆」映画祭)。「野のなななのか」の大林宣彦監督(76)などが続く。

【主演男優賞】作品、監督賞トップの「そこのみにて光輝く」の綾野剛(32)がここでも首位。「ジェームズ・ディーンの再来のような存在感があった」(ながおか映画祭)。2位には「青天の霹靂」の大泉洋(41)。「CGなしのマジックシーンがとにかくかっこよかった」(TAMA CINEMA FORUM)。3位に「蜩ノ記」の役所広司(59)。「主人公の戸田秋谷は役所以外では考えられない」(三重映画フェスティバル)

【主演女優賞】「紙の月」の宮沢りえ(41)。「そこのみにて光輝く」の池脇千鶴(33)。「0・5ミリ」「百円の恋」の安藤サクラ(28)。「私の男」「ほとりの朔子」の二階堂ふみ(20)の4女優が激しく競り合っている。宮沢が「映画があえて描いていない部分の時間を見事に表情で埋めている」(あきる野映画祭)との高評価だが、たけし委員長の選考が気になるところ。<次のページへ>

【助演男優賞】注目は若手2人、「ぼくたちの家族」などに出演した池松壮亮(いけまつ・そうすけ=24)と「そこのみにて光輝く」の菅田将暉(すだ・まさき=21)の争い。池松は「バンクーバーの朝日」で「同映画の魂である『自分は日本人なのかカナダ人なのか?』の問いかけを見事に体現させた」(しまね映画祭)と評価されている。

【助演女優賞】ともに「紙の月」に出演した小林聡美(49)と大島優子(26)が同数で並ぶ。小林は「唯一無二の存在感は『転校生』のころから全く変わらない」。大島は「“らしさ”を駆使して周りを壊す。一瞬にして前田敦子を超越」(ともに、ふかや映画祭)

【新人賞】鹿児島県出身の上白石萌音(かみしらいし・もね=16)。映画「舞妓はレディ」での初々しさが「映画とともに成長し、気が付けば映画を引っ張っている存在感がスゴイ!」(あきる野映画祭)とのこと。

【外国作品賞】「ジャージー・ボーイズ」(クリント・イーストウッド監督)がトップだが混戦ムード。

※審査に参加した全国10の映画祭=あきる野映画祭、うえだ城下町映画祭、しまね映画祭、周南「絆」映画祭、SKIPシティ、国際Dシネマ映画祭、TAMA CINEMA FORUM、とよはしまちなかスロータウン映画祭、ながおか映画祭
、ふかや映画祭、三重映画フェスティバル