男らしい男はモテない!? 若者の間では女性的な感覚を持つ男子が増え、しかもそういう男子がモテる傾向にあるという。オジサン世代は認めたくないその実態とは? 話題の本「女子力男子~女子力を身につけた男子が新しい市場を創り出す」の著者、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーの原田曜平氏に話を聞いた。

 原田氏は研究所を通じて200人の若者と接している。そこから浮かび上がってきたのが料理をし、スイーツを食べ歩き、美白にこだわり、ムダ毛の処理をする、以前は「女がやること」とされていたことを進んで実行している男子の存在だ。

 原田氏によれば「若い世代を調査している中で、かなり増えていると感じていました。実際、新語・流行語大賞で『草食男子』が(トップ10に)選ばれた2009年以降、日傘男子、弁当男子、レギンス男子などその手のキーワードが増えています。しかし全体を捉えた分析はされていなかった」という。

 そこで、この層に「女子力男子」と名付け、存在を見えやすくした。原田氏によれば増えた理由の一つは、社会が成熟ステージに入り、男性に求められるものが変わったことだという。

「昭和の日本は稼いで豊かになろうという社会。男は外で戦って競争に勝つことが求められた。当時は“狩りに行く男と洞窟で待つ女”という構図でした。しかし今は、蹴落とすより、みんなで調和して現状維持しようという社会。洞窟で待つ間、調和を維持していた女性型の社会なんです。以前のように『男は稼がなきゃダメ』と言われなくなり、社会的に『男らしく』という抑圧もだいぶなくなった。昔から料理が好きだったり美容を気にする男性は一定数いましたが、抑圧がなくなったことで表面に現れやすくなったのです」

 単純に「男が中性的になった」ということではない。

「中性的な方もいますが、それより女子力男子は家事ができる、スイーツに詳しい、話しやすいということで女性にモテるので、処世術として身に付ける男子が多いんです。実際、性欲丸出しの女子力男子もかなり多いです」

 そう、増えたもう一つの理由はモテるためということ。以前は「男らしくしろ!」という壁が立ちはだかっていたが、今はその壁がなくなったということだ。

 原田氏はオジサン世代も女子力男子から学ぶことがあると指摘する。

「今は女性中心の女性型社会です。女子力男子は女性とのコミュニケーション能力が高く、女性のニーズを察知する力も持っている。仕事でも地元のコミュニティーでも、彼らのような女子力を持っている方が何かと得です」。目指すは“女子力中年”か。