年をへるごとに増している声優人気。ファンのアイドル的な熱狂度の高さは、本職のアイドルファンも顔負けだ。しかし業界には閉塞的な一面があり、仕事に大きな支障が出るためアニメ媒体ではなかなか言えないという現実もある。そこで東スポWebでは声優業界に精通する3人の業界関係者による覆面座談会を開催。しがらみなしで真剣に2015年のブレーク候補を予想してもらった。

(A=アニメ雑誌ライター、B=アニメサイト編集者、C=アニメ音楽関係者)

 声優はヒット作の2クール後が大事

 ――2014年は「週刊ヤングジャンプ」のグラビアも飾った内田真礼や、その美貌ぶりでも話題の雨宮天がブレークしたといえますが、2015年に向けてはどうでしょう

 A:難しいなあ。声優ファンが聞いたら「そうじゃないだろ!」とかいうだろうし。

 ――そういうファンの思い入れは気にしなくていいです。あくまで業界の人の目で

 A:そうなんだ(笑い)。

 :だったら種田梨沙はいいんじゃない。野球でいえば10勝くらいする感じがする。

 :2012年「新世界より」で初のヒロインをやって3クール。去年やった「ストライク・ザ・ブラッド」は2クール作品なんだけど、2クール目からアニメの人気が上がってきて、今年引っ張りだこに。役者としての伸びが一番高い。

 B:数えきれないくらい2014年は出たよね。本当に恵まれていた。来年あればブレークだね。

 C佳村はるかもくるかも。もともと「アイドルマスター シンデレラガールズ」の基盤があった上に、今年は「SHIROBAKO」「天体のメソッド」があった。来年1月からはアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ」が入ってくるので間違いなくいいポジション。今オーディションをやっているアニメが始まる来年4月、7月の新番組でどれだけレギュラーを取ってこられるか。

 :声優はヒットしたアニメでオーディションのオファーが来るから、いい役を取った後の2クール後以降が大事。アイム(エンタープライズ)はこの声優を推すよというのが分かりやすくて、2014年が佳村。必ずオーディションにも、イベントにも、CDにも入れてきていたし、それが来年結びつくかどうかは注目かな。

 C:事務所でいったらホリプロ勢はどう。

 声優の顔を見れば事務所が分かる!?
2011年ホリプロのオーディションでグランプリに輝いた田所あずさ
2011年ホリプロのオーディションでグランプリに輝いた田所あずさ

 B:だったら田所あずさ。2011年のホリプロの声優アイドルオーディションのグランプリを取った時も取材していたけど、正直オーディションでは歌も演技ももっとうまい人もいた。でも、彼女は見ているだけで「あの子を押してあげたい」って思わせる何かがある。

 A:業界関係者の受けもいい。中村繪里子にも「ころあず」とか呼ばれてかわいがられている。あと化粧したら化ける顔だと思う(笑い)。そういう意味でも期待を込めて。でも一番は歌が歌えること。

 B:歌は抜群にうまい。昨年7月にアーティストデビューしたけど、その前の5月のライブに向けては100回くらいライブをこなしているし、用意周到。作品が決まったときに主題歌かエンディング曲にはまればポンと抜けていきそう。そういや照井春佳はどう? 取材したときになんか野望を持っている感じもあって印象的だった。

 C:あの子は青二(プロダクション)って感じするなあ。あと巨乳。

 :青二顔だよね。地味かわいい感じ。なんで派手なかわいい子を取らないかな青二。でも巨乳だよね。

 B:青二はジュニアの子に力を入れるから怖い。伊藤かな恵とか最近はあまり見ないでしょ。昔はどのアニメも伊藤かな恵だったのに。シュガー(佐藤聡美)も。

 A:若手のときにプッシュして、あとは本人に任せる。だから、そこからどんと仕事が減るんだよね。

 ――ジュニアというか、今年ブレークの兆しを見せそうな「新人賞候補」みたいな人だと誰がいますか

 “新人賞候補”は現場受けいい若手並ぶ

 C:ヴィムスの橋本ちなみは今年羽ばたいていきそう。昨年の夏に「最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが」で一発レギュラーをやってから、ほかのアニメだったり、佳村はるかとラジオもやっているね。勢いはある。

 A:佳村の次にアイムが推している小澤亜李も良さそう。2014年夏に「月刊少女野崎くん」があって、関係者が「じゃあオーディションに呼ぼう」となった。だから秋アニメ、冬アニメの出演は少ないんだけど、今年春以降くるんじゃないかなあ。

 B:あと黒沢ともよ。彼女は声優学校じゃなくて子役出身。大人の中でもまれているから世渡りがうまいというか、現場受けがいい。顔もかわいいしね。

 A:現場受けの良さでいえば青木瑠璃子も。ちょとしたイベントでも手を振ってくれる。スタッフ受けもいい。

 C:人に好かれるのも才能だ。変わった出自でいえば、もともとは舞台の照明をやっていた藤井ゆきよ。声優に転向してここ1、2年いい役に出ている。今はジュニアだけど、青二だから逆に今こそ推されている。

 B:あと種崎敦美。昨年は「鬼灯の冷徹」芥子役とかやっていた。演技がうまい。若手って感じじゃないし有名じゃないけど、作品に恵まれればかなりいくと思う。

 

 男性声優で注目はこの3人

 ――最後は男性声優についてお聞きしたいんですが

 :男性声優は基本的に同じ人しか使わないから難しいですね。最近だとそれこそ松岡禎丞とかくらい。その中では花江夏樹かな。昨年は「アルドノア・ゼロ」「東京喰種」で主演。どちらも今年続編を放送するし。

 :僕は蒼井翔太ですね。年齢は27歳だけど化けると思う。もともとミュージシャンだけあって歌がとにかくうまい。うたプリ(うたの☆プリンスさま)の仮歌は彼がほとんど担当してた。イケメンなんだけど、キャラクター的におどおどしていて、もてなれてない。そこも女性ファンをつかんでいる理由。安心して応援できるというか。先日ライブを見たんだけどファンが「翔太、こっち向いて~」ってアイドルみたいだった。

 :オレは村瀬歩。「ガッチャマン クラウズ」でメーンどころの役をやってからの「ハイキュー」で主役ど真ん中でブレーク中。今、すごく仕事が増えている。あと同じ「ハイキュー」の斉藤壮馬。81(プロデュース)のイチ押しという感じだね。