小保方氏愛用の指輪「ヴィヴィアン」の苦悩

2014年12月27日 09時00分

小保方氏

 思えば1月末の小保方晴子氏(31=元理化学研究所研究ユニットリーダー)は、バラ色人生の真っただ中だった。“夢の万能細胞”STAP細胞を発表し時の人になり、つけていたヴィヴィアン・ウエストウッドの指輪も話題となった。当時、同ブランドのPR担当は「ノーベル賞を受賞した際には、授賞式で衣装提供させていただきたい」などと大喜びしていた。あれから約1年…小保方氏をめぐる状況は暗転。ヴィヴィアンの担当者に「今でも小保方さんにつけてほしいですか」と聞いてみた。

 ヴィヴィアンを含む二十数ブランドを手がけるPR会社「ワグ」(東京都渋谷区)副社長の高橋信之氏(68)は、1月時点での小保方氏の印象について「男女ともに、堅いファッションの科学者が多いと思っていた。オシャレな科学者もいて、うちのブランドを好きだとは驚きに感じた」と振り返る。

 明るい話題で世間の注目を浴びた人が、たまたま自社商品を気に入ることは、PR戦略に知恵を絞る人々にとっては棚からぼた餠だ。
「PRとして当時、小保方さんの件は大成功だと思っていた」(高橋氏)

 偶発的にバカ売れする例は、フィギュアスケートのトリノ五輪金メダリスト・荒川静香氏(32)が挙げられる。

「イナバウアーを決めたとき、きれいに揺れる耳のダイヤのピアスが注目された。『ラザール・キャプラン』というブランドが、全国の売り場からすぐになくなった」(同)

 小保方氏の指輪についても同社に多くの問い合わせが来た。だが、今春にはSTAP細胞論文で同氏の不正が認定され、同細胞自体も事実上存在しないとみられるに至った。多くの人が、当時は夢にも思わなかったことだろう。

 高橋氏も「『好きになっていただいてありがとうございます』という気持ちはあるが、PR側としては『こういう結果になって残念』と言うしかない」とガックリだ。

 偶発的な出来事で注目されることは、マイナス効果ももたらす。たとえば和歌山カレー事件で、林真須美死刑囚が着ていた服のブランドがニュースで大写しになったが、「あれなどは、PR担当者としては本当に頭を抱える事態」と高橋氏。

 PRの目的はブランドの魅力を消費者に伝えること。正直、着用してほしくない人もいる。

「買ってくれると迷惑だと思う方もいるが、『買わないで』とは言えない。小保方さんの件では(イメージが)上がったり、下がったりした。それは計算できないこと」

 ときにはセレブに商品を着用してもらうことがあるが、離婚や不祥事などを起こせば大問題だ。

 高橋氏は「小保方さんは知らぬところで好きになってくれたが、我々がPRとして仕掛けたことなら大変だった。我々に責任があるし、クライアントから損害賠償を請求されるかもしれない」と言う。

 もちろん、今回はブランドにもPRにも一切責任はない。

「単なる不祥事ではなくて、良いことがひっくり返った非常に特殊なケース。偶発的に残念な事態が起きたときにどのように対処するか。一つの良い事例となった」

 今後も小保方氏にヴィヴィアンを着用してほしいかとの問いに高橋氏は「彼女は着けてくれるだろうか? 大事な自分のラッキーアイテムだったかもしれないけど、こうなったら『二度と見たくない』とお思いかも?」とその心中を推し量った。