ごり押しと批判されても紅白に出ておきたいワケ

2014年12月06日 11時00分

「結局、割を食ったのは小さな事務所だけですよね」

 こんな声が聞こえてきたのが先日、発表された紅白歌合戦の出場歌手選考だった。

 あるレコード会社関係者は「誰とは言いませんが、発表前段階では『落選』というニュアンスでNHKが伝えたといわれていたのに、ふたを開けてみたら出場歌手に入っている。どうも、同じ事務所の大物歌手が出場することで、ごり押しされたという話でしたね。それに今年は危ないといわれていた常連歌手もいましたが、事務所が強力プッシュをかけて何とかしたなんて話も聞こえてきた。例年、この手の話はよく出てくるが、今回はこういったごり押しだの、バーターだのってのが特によく聞こえてきたって印象です」。

 確かに、ジャニーズ事務所の6アーティストをはじめ、芸能事務所とNHKの力関係や蜜月ぶりなどが透けて見えてしまう印象を受けた。

 ただ、芸能界に“見えない裏側”があった昔ならいざ知らず、ネットが発達し情報があふれているこのご時世で、果たしてこういった“ごり押し出場”が、アーティストにとっていい結果を招くのかどうかは少々、疑問が残るところ。

 別のレコード会社幹部は「いまはネットの影響もあって、業界の人以上に、一般の人も内部情報を知っている。『○○のバーターで××が入った』とか、『あのアーティストのバックは△△さんだし、NHKにも影響力あるから売れてなくても出れた』など、この手の業界話が、ごく普通の会話のように飛び交っている。ウチだってごり押ししてでも紅白に出したいと思う歌手はいた。でも、結局、ネットで叩かれるでしょ。それで傷つくのは歌手ですからね」。

 そういう意味では近年、視聴者から紅白での立ち位置が疑問視されていた浜崎あゆみが「卒業」を発表したのは、時代に即した英断だったのかもしれない。

 とはいっても、視聴率40パーセントを超える歌番組は紅白以外存在しないのも確か。前出のレコード会社関係者は「なんだかんだ言っても、結局、これを見なければ年が越せないと思っている人はまだ多いってこと。それに、不思議と紅白を見終わると、『今年の音楽界はこういう年だった』と妙に納得させられるところがある。そういう意味で言うと、やっぱり紅白に出ていないと立ち遅れた感がある。来年も何としてでも入れたいって思っちゃうよね」。

 こんな不思議な魅力を持っている番組であることは確かなようだ。