「SMBC日本シリーズ2014」で阪神とソフトバンクが激闘を繰り広げているウラで、第1戦を生中継した大阪・朝日放送と系列キー局の東京・テレビ朝日も激しいバトルを展開していたという。実は両局は昔からライバル意識が非常に強い。阪神の本拠地・甲子園球場での開催のため、現場を仕切ったのは「ホーム」朝日放送だが、テレ朝側も現場に注文を付けようと必死。朝日放送側は「勝手なマネはさせへん!」とバチバチだったというのだ。
日本シリーズ第1戦のテレビ中継は“ナニワ一色”となった。解説者には、阪神が唯一日本一になった1985年の監督で「ムッシュ」の愛称を持つ吉田義男氏(81)。さらに、阪神一筋の現役生活を送り関西で絶大な人気を誇るOBの桧山進次郎氏(45)が起用された。
解説者だけではない。メーンスポンサーは、中古ピアノの買い取り、販売を行う「タケモトピアノ」。大阪府内に本社がある同社は、歌手・財津一郎(80)が「ピアノ売ってちょうだい~」と歌うCMがおなじみだ。
そうしたなか、スペシャルゲストとして出演したのが巨人・阿部慎之助捕手(35)。関西一色のムードの中、1人だけの関東人だったが、これにもウラがある。
「『これでは関東で視聴率が取れない』と心配したテレ朝側が、何とか強引にねじ込んだのが阿部選手だけだったらしい」(テレビ局関係者)
それだけ朝日放送は「地元」にこだわったのだが、その思いを強くしたのは「今年のオールスター中継に関係している」と明かすのはある在阪テレビ局関係者。
7月に行われたオールスターの第2戦は球場が甲子園だった。通常なら甲子園での中継は朝日放送が担当するが、今年は代理店の関係でテレ朝が主導権を握ることになったという。
「昔ほどではないにせよ、今でも朝日放送はテレ朝への対抗意識が強い。やっぱり関西の人間にとって甲子園は“聖地”。朝日放送は高校野球中継もやっているし、プロ野球では阪神に密着した番組を作っている。『地元での中継には一日の長がある』と自負しているだけに“よそものに荒らされた”という感じだった」(同)
こんな伏線があっただけに「甲子園での日本シリーズ」中継の仕切りは、どうしてもテレ朝に譲れなかった。
このバトルの余波は、なんとNHKにまで影響を及ぼしていた。NHKはBSで日本シリーズを中継しているのだが、なぜか第1戦だけが「中継なし」だったのだ。
「これも朝日放送の意気込みの表れですよ。完全独占中継するために放映権料を上積みしたそうです。やる時はとことんやるのが同局の方針です」(制作会社関係者)
朝日放送がテレ朝に対抗意識を燃やす原因は、オールスターだけではない。テレ朝は今年4月、大型改編を行い月~金曜放送の「徹子の部屋」を正午、続けて「上沼恵美子のおしゃべりクッキング」を午後0時30分に開始を繰り上げたが、視聴率は低迷した。
ちなみに「徹子――」がテレ朝制作で「上沼――」が朝日放送制作なのだが、テレ朝の早河洋社長(当時)が4月の定例会見で、「『徹子――』は健闘しているが、その後が…」などと話したという。
「それで朝日放送は『テレ朝が“大型改編”なんて言って勝手に放送時間を変えといて、何て言い方だ!』とカンカンだった」(同)
結局「上沼――」は10月の改編で午後1時45分開始に変更となった。
「ちょっと数字が悪くなっても、黒柳さんをテレ朝が簡単に切れないのと同様に、朝日放送も上沼さんを切れない。長年の功労者だから、早河氏の発言は許せないでしょう」(芸能プロ関係者)
日本シリーズの「甲子園決戦」で表面化した両局の激しいバトルは、今後も続きそうだ。