覚醒剤取締法違反などの罪で懲役3年、執行猶予4年の有罪が確定した歌手・ASKA(本名・宮崎重明=56)に合成麻薬MDMAや覚醒剤を譲り渡したとして、覚醒剤取締法違反容疑で起訴された指定暴力団住吉会系組幹部の安成貴彦被告と、無職の柳生雅由被告の初公判が21日、東京地裁で行われた。

 検察側によると、安成被告と柳生被告は共謀し、今年3月に東京・目黒区のASKAの自宅で合成麻薬MDMAを56万円で、5月に世田谷区の路上で覚醒剤を36万円で譲り渡した疑い。安成被告を違法薬物の手配役、ASKAと面識があった柳生被告を売り渡す役とした。

 逮捕時から一貫して否認していた安成被告は、この日も法廷で「身に覚えがないです」と全面否認し、争う姿勢を見せた。

 問題となったのは、柳生被告だ。まずは安成被告との共謀を否定。さらに容疑をかけられた両日ともASKAと会ったことを認めたが、手渡したのは違法薬物ではなく菓子折りだとした。3月に渡したのは「ポテトチップス」、5月に渡したのは「ポッキー」と言い、「(菓子の)中は見てません」と主張した。

 これに焦ったのが、柳生被告の弁護人だ。初公判前日の打ち合わせとまったく違うことを柳生被告が主張しているとし、「お時間いただいて、あらためて認否の確認をしていただきたい」と結局、この日は認否を明らかにしなかった。

 次回公判は11月26日に行われる予定だ。