誤報2連発の朝日新聞バッシングが止まらない。今週発売の「週刊文春」や「週刊新潮」など大手週刊誌は、ほとんどトップ記事で朝日新聞をブッタ斬っている。しかし、8月の段階から朝日を「もう叩くべきではない」と発言しているまれな男がいた。フジテレビ出身のフリーアナウンサー長谷川豊氏(39)だ。

 自身のブログ「本気論 本音論」で8月30日、朝日について「問題だと思わない」と掲載。今月23日には「あの誤報は僕はいいと思うんです」と書いている。四面楚歌の朝日をまるで擁護するかのような発信だ。

 真意を直撃すると「今回の朝日の問題は、日本人のメディアリテラシーのなさを浮き彫りにしたんです。朝日が慰安婦誤報記事を書き続けて、それを信じた人が『誤報だ!』と怒るのは違う。信じた方が負け。メディアに対しては、一歩引いた目線で接しなきゃいけないんです」という。

 要は一新聞社の誤報ではなく、メディアリテラシー、つまり報道機関によるニュースが「正確かどうかを読み取る力」の問題ととらえるべきというのだ。長谷川氏は局アナ時代の2010年から約2年間、メディアリテラシーが日本より進んでいると言われる米国で勤務。現地にあふれる偏向報道をサラリと受け流す米国の視聴者を目の当たりにしてきた。そして、フリー転身後に「テレビの裏側がとにかく分かる『メディアリテラシー』の教科書」を出版した。

「“メディア王”のルパート・マードックはFOXテレビを設立しましたが、彼は共和党の支持者。だから、FOXは共和党の批判はNGです。かたやABCテレビは民主党寄り。米国の視聴者は各局の政治的立場を理解していて、放送内容をそのまま信じないで見る」

 米国の偏向報道に対して、日本のテレビ界は中途半端。その背景にあるのが「放送法第4条第2項です。『政治的に公平であること』とされていますからね」。

 その上であえて、日本は放送法を改定してでも偏向報道をするべきだと主張する。各局の番組で偏向報道が実現すれば、米国のように中立の目を養うことになると見ているようだ。