唯一スターバックスがなかった鳥取県に、ついに店舗ができると話題だ。スタバがないことは、鳥取県民の数少ない全国区のネタでもあるが、いちコーヒーショップの進出が全国的な話題になるこの事態を、当の鳥取県民はどう見ているのか? 本紙では国立大学法人鳥取大学の大学生と大学院生に「スタバ出店について」の緊急アンケートを行った。回収できた31人の回答を集計すると、意外な結果が。

 米系大手コーヒー店チェーン、スターバックスコーヒージャパン(東京)の関根純最高経営責任者(CEO)は今月中旬、都道府県の中で唯一店舗がない鳥取県に、来年初夏に出店すると正式発表した。1996年、東京で1号店を出してから約19年で全国展開を果たす。

 平井伸治知事(53)が鳥取砂丘を砂場に例え「スタバはないけど、日本一のスナバがある」と発言し、「スタバがない県」として知られていた。

 鳥取県では唯一スタバがないことを逆手に取って、鳥取名物の砂丘とスタバをかけた「すなば珈琲」を開店するなど、ネタにもしている。スタバがないことに対する県民の本音はどうなのか。

 鳥取大学の20~32歳の男性14人、女性17人の学生にアンケート調査を行った。31人のうち他県のスタバ店舗に行ったことがあるのは26人。行ったことがないのはわずか5人だった。

 大半がスタバ体験者にもかかわらず、「スタバ出店を歓迎していますか?」という質問に対し、「歓迎している」と答えたのは13人。「いらない」の11人と「興味がない」の7人を合わせた“不必要派”が58%を占めた。意外にも県外で騒ぐほど県民はスタバを求めていなかったのだ。

「いらない」の理由で多いのが「鳥取のネタがなくなる」というもの。スタバがないことを「鳥取のアイデンティティー」「アピール」と考える人が7人。「すでにドトールなど別のカフェがある」という人や、「スタバから守ってください」「ないのを貫いてほしい」と、拒絶反応を示す人も。また「興味がない」理由で多いのは「行かないから」だった。

「歓迎している」13人の内訳は、「粉を買いたい」「フラペチーノがおいしい」という“スタバファン”が3人。「コーヒーが好きだから」が2人。「ないよりあった方がいい」「1店舗もなかったので」と消極的な賛成派が6人。残る2人は無回答と「鳥取を愛しているから」だった。

 唯一スタバがない県だったことについて、不必要派は「(ないことが)我が誇り」「売りにすればいい」「ネタとしておもしろい」「ONLY ONE最高!」とポジティブに捉えている人が多い。「収益を考えると仕方ないと思う。他にもそういう店が多いので特に気にしなかった」(32歳男性)と冷静に見る人も。一方の歓迎派は「恥ずかしい」「ショックでした」「残念」とネガティブに捉えている人が多い。「やはり見放されているのかと。人口も少ないですしね(笑い)」(24歳女性)という声も。

 一足先に鳥取県(米子市)で店舗を構えたタリーズ、以前からあるドトールと関西系のグロリア・ジーンズと合わせた4店をイメージが良い順にランク付けしてもらったところ、スタバを1位に選んだ人は13人と最も多かった。不必要派も6人が1位に選んでいる。

 スタバができたら「行ってもいい」とあまり積極的ではない人が12人。次に多いのが「行かない」の9人だ。「必ず行く」人は4人。「とりあえず行く」は6人。県外でまで話題になっているが、集計結果を見るに、どうやら県民はスタバ進出をそれほど大ごとと考えていないようだ。