スコットランドの英国からの独立の是非を問う住民投票は19日、反対多数で否決された。英国のエリザベス女王は同日、書面で声明を発表。「数か月の論議と熟慮」の結果だと称賛した。


 ただ、投票を巡っては、英の著名人セレブらが独立賛成か反対かで対立した。当面のスコットランドの独立は回避されたものの、大きなしこりを残したことは間違いない。当初は圧倒的多数で否決されるとみられていた住民投票は、英セレブらの参戦で大接戦にもつれこんだ。スコットランド出身で「007」初代ジェームズ・ボンド役のショーン・コネリー(84)は「独立するまでスコットランドには帰らない」と訴えるバリバリのタカ派。昨年のウィンブルドン選手権で優勝したスコットランド出身のアンディ・マリー(27)も態度を表明していなかったが、投票当日に賛成を表明し、周囲を驚かせた。


 一方、独立反対派は歌手のデビッド・ボウイ(67)、ポール・マッカートニー(72)、サッカーのデービッド・ベッカム(39)、「ハリー・ポッター」の作者J・K・ローリング(49)らで、結果的には大半のセレブが独立の危うさを訴え、賛成派を抑えた。


 終盤には本紙既報通り、伝説的UMAのネッシーも論争に巻き込まれ、独立否決後は「ネッシーは英国に向かっていたがUターンした」「英はネッシーを失わずに済んだ」とすっかり政争の具にされた。独立となれば、ゴルフの4大メジャーの一つ「全英オープン」も大会名が変更される可能性を本紙は既報していたが、その問題も回避された。


 英国の分断は避けられたが、“戦後処理”は大変だ。国外に在住ながらも賛成論陣を張ったコネリーには非難が殺到。英王室からナイト(サー)の爵位を与えられているが、「王室への反抗行為」と爵位剥奪せよとの声も出ている。また、歌手のスーザン・ボイル(53)はスコットランド出身ながらも「民族主義者でない」と独立反対に回ったため過激で知られる独立派のスコットランド国民党から目の敵にされている。すぐさまノーサイドとはいかない雲行きだ。