フジテレビは1日未明に放送予定だったアニメ「PSYCHO―PASS新編集版」の第4話の内容が、佐世保高1殺害事件を想起させるとして放送を中止し、5話を繰り上げ放送した。

 同作の監督を務める塩谷直義氏は7月31日、自身のツイッターで、「エンターテイメントを制作している以上は、時勢に関わらず放送して楽しんでもらえるモノを作り、皆様にお届けする。それが出来ないのは、ただただ監督の責任です。申し訳ありません」と謝罪した。

 作品は近未来のサイバー警察モノで、2012年から13年にかけて放送されたオリジナル版を再編集して放送中。4話は全寮女子校を舞台に美術部部長の才色兼備な女子高生・王陵璃華子が下級生を次々に殺害し解体。バラバラにした遺体を、顔の上に胸、胴の上から2本の足…とおぞましいオブジェに組み立てて公園に飾る猟奇犯罪に迫る内容だった。5話にはおぞましいシーンはなかった。

 オリジナルファンからは「さすがにタイムリー過ぎる」「佐世保の事件を聞いて真っ先にサイコパスが思い浮かんだ」と、事件との共通点を指摘する声も多く、フジテレビ広報も「現状では放送はふさわしくないと考えている」とコメントしている。

 アニメ業界の関係者は「07年に京都で、女子高生が警察官だった父親の首をおので切りつけ殺害した事件の時は、似たような描写があった『ひぐらしのなく頃に』や『スクールデイズ』も放送を中止した。加害者がアニメを模倣したかどうかは分からないが、類似の犯罪を誘発しないとも限らないので中止は仕方がない」と話す。

 また、「PSYCHO―PASS」の放送枠は「ピンポン」や、森見登美彦氏の「四畳半神話体系」などの大人向けアニメを放送する実験的な枠だ。

「特に『PSYCHO―PASS』は2クールぶち抜きで放送された人気アニメ。10月から新シーズンが始まるのに合わせて新編集版を放送していたので、欠番で逆に注目されることになったのでは」(同)という。