俳優の中井貴一(52)、阿部寛(50)が30日、東京・港区のグランドプリンスホテル新高輪で行われた、映画「柘榴坂の仇討」(9月20日公開)の完成報告会見を行った。物語は「桜田門外の変」をめぐる2人の武士の生き方を描く。
 
 題名の「柘榴坂」に面した同ホテルの庭園に、2人は人力車に乗って登場。3度目の共演だが、撮影中はほとんど会話を交わさなかったという。
 
 その証拠に若松節朗監督(65)は「こんなに仲の悪い役者はいないのではというほど、あいさつすら交わさない。中井さんは『俺は阿部とは話さない』と言って、現場に緊張感があった」と証言する。
 
 だが、これにはワケがあった。阿部は「作品に入る前に貴一さんにお会いし、京都では(役作りのために)言葉を交わさないと話した。撮影は初日からメークが隣で、意表を突かれたが、日常的な会話をできるだけ控えることを最後まで通した」とタネを明かす。
 
 中井も「阿部さんの真面目さを感じた。決して仲が悪いわけではない。監督に惑わされないように。な、阿部ちゃん」と苦笑した。
 
 クライマックスは、雪の中で中井が阿部の引く人力車に乗り、柘榴坂を上る場面。阿部はリアリティーを追求するためにスタッフの協力を断ったが、人力車は重く阿部は全力で30メートルを引くハメに。
 
 中井は「助監督が『押しましょうか』と言うのを聞いていた。どう考えても1人で引くのは無理だと思っていたら、阿部さんが『大丈夫です』と断っていた。フンッときばって必死に引くのを上から見ながら、ここで手を離されたらこのまま後ろ向きに落ちるなと心配だった」と告白。あわや、阿部に“バックドロップ”を食らうところだっただけに、気が気でなかったようだ。