泣くな、歌さん! 落語家の十代目柳家小三治(74)が重要無形文化財保持者(人間国宝)の認定を受けることが決まった。落語家が人間国宝となるのは18年ぶりで、3人目。落語界にとってはおめでたい話だが、そんな中、心配されているのが人気長寿番組「笑点」(日本テレビ系)の司会者で知られる桂歌丸(77)だ。というのも落語界ではここ数年、「次の人間国宝は歌丸師匠」と噂されていたため。気落ちして、またまた「笑点」を休養なんてことにならなきゃいいが…。

 過去に人間国宝となった落語家は2人いる。五代目柳家小さんさん(故人)が1995年、三代目桂米朝(88)が翌96年に指定された。小さんさんは小三治の師匠で、今回の決定は“師弟2代にわたる人間国宝”という快挙でもある。


 人間国宝に内定した小三治はさる16日、都内で記者会見を行った。


 人間国宝の内定を最初に聞いた場所は喫茶店で、「突然ケータイが鳴って出たら『お受けいただけますか?』って。その時に『はい』って言えないから『ちょっと待ってください』って言った」。


 一度電話を切った後、しばらく考えて「これは『ちゃんとお相手しなきゃ』と思った。15分くらいして『はい、もらいます』と言いました」。


 ただ人間国宝という偉業にも本人は「だいたい賞とかそういうものに、値打ちとかはもともと感じない性質」と、淡々とコメント。さらに「本当にうれしいのは肩書ではない。私の勲章は寄席、あるいは落語会にお越しになる一人ひとりに喜んでもらうことが一番」。


 人間国宝そのものにはあまりうれしさを表さなかったが、「人間国宝になると年金をいくらかもらえる。それは私は好きなんですよ」と笑わせた。


 落語界に詳しい芸能関係者は「もちろん小三治さんは人間国宝になるのにふさわしい実力の持ち主だから、今回の決定は当然。基本的にテレビには出ない人だから、一般的には知らない人も多いが、寄席や落語会での集客力はピカイチ」と指摘。


 毎年8月には東京・池袋演芸場の昼席でトリを務めるが、その時は連日朝から立ち見が出る大盛況となることも有名だ。


 ただそのうえで「最近は『次に落語界から人間国宝が出るとするなら歌丸さん』という声が多かった。だから『小三治さんは予想外』と言う関係者は多い」と明かした。


 中には「自分じゃなかったから、歌丸さんがショックを受けているのでは」と心配する声も出ているという。


「歌丸が人間国宝になる」という噂は5~6年前から出ていたとか。歌丸は2006年に五代目三遊亭円楽さん(故人)から「笑点」の司会の座を譲り受けた。常に高視聴率をマークしているお化け番組だけに、歌丸の知名度は抜群だ。


「他の笑点メンバーも『もし歌丸さんが人間国宝になったら』などとネタにしながら言っていたくらい。歌丸さん本人もまんざらでもない様子で、最近はその気になっていたようだ。だから『ショックを受けているかも』と言われている」(同)


 また人間国宝になったのが小三治だということも、歌丸にはショックを受ける材料の一つとか。


「歌丸さんは現在、落語芸術協会の会長。一方小三治さんは、ライバル団体である落語協会の会長を先月まで務めていた。言わば別の派閥のトップが人間国宝になったから、輪をかけてショックかもしれない」(同)


 とはいえ過去には、小さんさんと米朝が落語家として2年連続で人間国宝となったケースもある。これで資格を失ったわけではないだけに、来年以降、歌丸が人間国宝に認定されるニュースを待ちたいところだ。