夢見るストリートミュージシャンを食い物にする詐欺が広がっている。

 あるストリートミュージシャンは「(東京)新宿西口でストリートライブをするミュージシャンが多いのですが、ライブ後、話しかけてくる男にだまされるミュージシャンが続出してます。モヒカンで小太りでヒゲを生やしています」と明かす。

 ストリートライブ後に後片付けをしていると、男が近づいてきて「最後の曲は良かった」と話しかけ、CDを買ってくれるのだという。その男は自分もミュージシャンで、アンジェラ・アキのバックギターであると詐称。

 ストリートミュージシャンのCDを何枚も持っていて「こいつは有望だから、オレがバックで弾いているんだ」などと信用させるようなことを言い「今からプロデューサーと飲むんだけど一緒に飲みに来るか?」と誘う。

 ストリートミュージシャンがついていくと、男はペラペラ自慢話をしながら、飲み食い。だが、いくら待てどもプロデューサーは来ない。明け方になると、男は「プロデューサーが来るので、駅まで迎えに行く」と言い、そのまま帰ってこない。ミュージシャンは5万円の会計を支払う羽目になる。ミュージシャンがフェイスブックなどで調べると、同一人物から同様の被害に遭ったストリートミュージシャンが複数いた。

 中には男から「ギターのピックアップを替えるから」と言われ、ギターを預けると、そのまま帰ってこず、ギターは中古楽器店に売り飛ばされていたという例も。

 悪質な詐欺の手口を見つけ出し、公開しているサイト「詐欺退治ドットコム」の運営者は「音楽業界の大物へのパイプがあるとかたり、接待を受けたりする詐欺的な類似手口は、渋谷に出没する外国人プロデューサーらにも見られます。『飲食代は強要したわけではなくミュージシャンが自発的におごってくれたものだから、タカりでも詐欺でもない』と詐欺師は主張するので、逮捕は難しいでしょう」と話している。