トップモデル、ミランダ・カー(31)がテレビで紹介し、米国のセレブの間で大流行している健康飲料「kombucha」が話題だ。

 日本の女性にも美容の目的で広がっているが、日本の昆布茶かと思ったらまったくの別物ということを、男性は意外に知らない。シベリアなどで伝統的に飲まれているモンゴル原産の発酵飲料で、その正体は日本でも40年前に大流行した「紅茶キノコ」。紅茶や緑茶に砂糖を加え、キノコの形をしたイースト菌(酵母)とバクテリアでできているゲル状の発酵物を入れる。菌が繁殖し、不気味な外見になったら出来上がり。

 これを飲むと代謝が上がり、コレステロール値が下がり、血流を促進するという。解毒効果やシワ予防に効果的で、免疫力アップも期待できると、マドンナ(55)やグウィネス・パルトロウ(41)らも愛飲しているという。

 紅茶キノコといえば、昭和50年代、日本で大ブームとなった。戦後30年で初めてGNPが前年度割れ、不況が深刻化し、完全失業者が100万人を突破した。「貧しさに負けた、いえ、世間に負けた」と「昭和枯れすゝき」の凹みの春。紅茶キノコの本は25万部を売り上げ、300万人が自宅で紅茶の中にクラゲみたいなものを浮かせていた。

 だが、かなりまずかったので、お父さんや子供は、母親が「健康にいいから飲め」という攻撃から必死に逃げ回っていた。だが、そのブームも「雑菌も一緒に繁殖してしまうからかえって体に良くない」などと言われ始め、ペースダウン。究極の一発屋だった。

「確かに昔のは酸っぱくて甘くて気持ち悪かったですが、今、米国で売られているのはマンゴー味やシトラス味など多彩で、味も悪くありません。また日本でも再ブームになるかもしれませんね」(料理研究家)

「暗い時代には紅茶キノコが流行する」という現象でないことだけは祈りたい。