2013年の視聴率でゴールデン(午後7~10時)、プライム(午後7~11時)の2冠に輝いたテレビ朝日が不調に陥っている。そのうえ、開局55周年記念として水谷豊(61)主演の人気ドラマ「相棒」を映画化した「相棒―劇場版Ⅲ―巨大密室!特命係 絶海の孤島へ」も予想外の苦戦。この“変調”は「『相棒』に頼りきった番組編成のツケがとうとう回ってきた」とみられている。

 昨年の勢いはどこへやら…。テレ朝の視聴率は、4月に入ってから急降下。約3週間(3月31~4月21日)のゴールデンタイムの数字は、平均9・9%と1桁台に低迷した。その結果、最近好調の日本テレビやNHKばかりか、不調のフジテレビやTBSの後塵を拝する5位に転落してしまったのだ(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。


 それだけではない。看板ドラマシリーズを映画化した「相棒―劇場版Ⅲ―」が4月26日に公開され、こちらもまさかの低迷…。公開直後2日間の興行収入は、公開中の映画の中で5位だった。客入りが期待できるゴールデンウイークも、5位と低迷した。


「『相棒―劇場版』の過去2作品は、公開1週目はいずれも1位にランクされました。テレ朝にとっては無敵のソフトでした。野球で言うならNYでも負け知らずのマー君みたいなものだったんです。それが今回5位というのは、いくらなんでも厳しい数字。周囲の人が思っている以上にショックは大きい」とは映画関係者。


 客足が鈍った原因としては、ディズニーアニメ映画「アナと雪の女王」が相変わらず大ヒットを続けていることや、公開日が「テルマエ・ロマエⅡ」と重なったことが挙げられている。「“アナ雪”に関しては、もはや社会現象とも言えるほどの人気で、ゴールデンウイーク中の客入りも断トツ。『相棒』がその余波を受けたのは間違いないですね」と同関係者。


 ただその一方で「『相棒』自体の勢いも以前に比べて落ちている」との指摘もある。


「今回は公開初日から空席が目立っていた。そんなことは過去の2作品ではなかった」(宣伝会社スタッフ)


「相棒―劇場版」は、08年公開の第1作が約45億円の興行収入だったが、10年の『劇場版Ⅱ』は30億円をようやく超えたあたりと、興収は徐々に落ちている。「今回は20億円程度にとどまるのでは」と同スタッフはみている。


 テレ朝の視聴率に加え「相棒―劇場版」の“数字”も落ちている原因として、「相棒」シリーズのドラマ再放送を連日繰り返しやっていることがあるという。「あれだけ何度も同じドラマを繰り返し見せられたら、いくらファンでも飽きてしまいますよ。映画にしてもしばらくしたらテレビでやりますから、『わざわざ映画館に行かなくてもいいや』と思ってしまいますし…」(前同)


 視聴率が低迷しているのにも、ドラマ「相棒」が毎日再放送されている影響が出ているのだとか。テレ朝ではこの4月クールから「BORDER」「刑事110キロ」「TEAM~警視庁特別犯罪捜査本部」と3本の刑事ドラマを放送しているが、いずれも低視聴率にあえいでいる。


「昼間にあんなに『相棒』を再放送していたら、新たな刑事ドラマを見ようとは思わないでしょう」と指摘するのは、さる芸能プロ関係者。テレ朝はここ数年、「相棒」を繰り返し放送して視聴率を上げてきたが、さすがにその戦略も飽きられつつあるようだ。