10日、映画「太陽からプランチャ」完成披露試写会が東京都内で行われ、窪田将治監督(40)、相馬圭祐(27)、馬場良馬(29)、倉貫匡弘(31)、立花あんな(22、仮面女子・アリス十番)、志田光(25、フリー)、山口ルツコ(23、アイスリボン)が登壇した。

「失恋殺人」「クレイジズム」「僕の中のオトコの娘」がモントリオール世界映画祭に出品されるなど、国内外で高い評価を受ける窪田監督の最新作。「夢を諦めかけた」カメラマンが「夢を追い続ける女子プロレスラー、アイドル」の撮影をきっかけに、理想と現状に葛藤しながらも夢を取り戻していく青春ストーリーだ。

 出演者から「撮影中の監督は怖い」(相馬)、「屍になりました」(山口)「ボロボロになりました」(立花)と“酷評”された窪田監督。今回の作品について「周りに、生活のため(映画を)諦めた人もいる。僕も食えるか食えないかというところからスタートした。やりたいことをやり続けることは難しい。カメラを質に入れたこともある」と告白。そして「悪人は自分たちの心の中にある。自分に負けたり、食われたりした人間がいなくなっていく世界。女子プロレスラー、地下アイドル、30代手前の役者…。この先もたいへんだろうけど、がむしゃらにやっていこぜ!というメッセージを描いた」と続けた。クランクアップから公開まで1年かかったことについて「(僕が)忙しすぎたのと、役者のスケジュールが合わなかった。まだ、字幕をつくっていないが、映画祭への出品を考えている」と明かした。

 主人公を演じた相馬は「女子レスラー、地下アイドルの皆さんが一緒にギリギリまで粘って撮影に参加してくれた。映画には清々しさがあって、すごく共通する部分がある」と語った。そして「皆さんに言っておきたいのですが、バッティングセンターのシーンあるじゃないですか。僕、いつもは左打ちなんです。作品でへなちょこなのは右打席だったから」と窪田監督に“リベンジ”を要求した。馬場は「女子プロレスラーが魂を削って命をかける姿が、そのまま映っていることに感動している。役者もそうじゃなきゃいけないということを窪田監督に教えていただいた。僕の役者意識を変えてくれた作品」と窪田監督に感謝のコメント。カメラマン役を演じた2人は、撮影で訪れたアイドルのライブ会場(秋葉原の常設劇場P.A.R.M.S)が、非常に楽しかったようで、作品のライブシーンで使われる「全開☆ヒーロー」(アリス十番)がお気に入り。「振りもできますよ」と会場のファンを笑わせた。

 立花あんなは“地下アイドル代表”として出演。バッティングセンターのアルバイトをしながらアイドル活動をする役柄。「私がアリスプロジェクトに入った当初、アルバイトをしながらアイドル活動をしていたので、当時の自分と重ね合わせて、素朴な感じでやらせていただいた」

 アルバイトのシーンでは「監督にボロクソに叱られた」が、「いつもやっているライブのシーンは早くOKがもらえた。前からのアングルはもちろん、後ろからのシーンはファンの方が応援する姿もバッチリ。ヘドバンもあり大スクリーンならではの迫力があって、アリスのファンじゃない方も印象に残ると思う」。また「この映画で、セリフがない部分の間もすごく大事なんだなと、気がつかされました」と演技での成長も実感したようだ。


「今とびだそう!!儚い(はかない)世界 太陽に届け…」エンディングテーマはアリス十番の「真・アドベンチャー」だ。少し悩んでいた時期にこの作品に出演したという立花。「夢を諦めなくてよかった。この映画に出会い、舞台あいさつにも立つことができ、また一つ夢がかなった。私の人生を変えてくれた作品です。夢があったのに生活を選んだカメラマンが、女子プロレス・地下アイドルと出会って変わっていく感情が丁寧に描かれています。その姿を見て、背中を押される人もいると思う。プロレスのシーンも長く、迫力満点。夢を追っている人はもちろん、(夢が)ないという人にもおすすめです。アイドル、プロレスのファンだけでなく、老若男女に見ていただきたい作品です」と語った。

「太陽からプランチャ」は、6月28日(土)から、新宿バルト9の他、全国順次公開される。

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