レツゴーじゅんさん 晩年の栄光は「半沢」「ごちそうさん」

2014年05月09日 18時00分

「レツゴー三匹」のじゅんさん、正児、長作(左から。1977年4月)

「じゅんで~す」「長作で~す」「三波春夫でございます」――。ツービートやB&Bの80年代漫才ブームのはるか前から、日本中に知られていた漫才トリオ「レツゴー三匹」のレツゴーじゅん(本名渡辺美二=わたなべ・よしじ)さんが、8日午後5時29分、脳出血のため大阪市内の病院で死去した。68歳だった。

 じゅんさんは吉本新喜劇などを経て、レツゴー三匹を結成、上方漫才大賞などを受賞する人気トリオとして大活躍した。同期生には坂田利夫(72)、今は亡き“天才漫才師”横山やすしさん(享年51)とは、学生時代から交友があった。

「レツゴー三匹」の全盛期と言えるのは1970年代。「関西のテレビ番組では、当時じゅんさんをはじめレツゴー三匹を見ない日はないほど出まくっていた」(在阪の芸能関係者)

 そのころ松竹芸能所属のレツゴー三匹は、吉本興業の看板コンビだった「横山やすし、西川きよし」と並び称されるほどの人気を博した。「当時『やすきよ』のマネジャーが“ミスター吉本”と言われた木村政雄さんで、松竹側は後に『コント赤信号』らを育てた石井光三さん。2人が火花を散らしてお互いを売りあった」(同)

 74年にやすしさんがタクシー運転手に対して傷害事件を起こし謹慎処分となった際には、石井氏に「これでレツゴー三匹の天下」と言われ、木村氏は悔しい思いをしたというほどライバル意識は強かった。80年代後半からはトリオでドラマや時代劇、映画に出演したが、ピンで役者の仕事をするときは「逢坂じゅん」の芸名を使っていた。

「ひとクセ、ふたクセある役が多かった。あの顔つきだから、悪役やらせようにも根っからの悪人はできず、どこか憎めないチンピラみたいな役なんかもやっていた。基本的には人情味のある脇役をやることが多かった」とは、ベテランのテレビ関係者だ。

 それでも、昨年のTBS系大ヒットドラマ「半沢直樹」と、あの「あまちゃん」以上の視聴率を取ったNHK朝ドラ「ごちそうさん」にも出演していた。「半沢直樹」では宇梶剛士(51)扮する会社社長、東田が隠れ家にしていたマンションのオーナーを演じ、「ごちそうさん」では、杏(28)が演じた東京出身のめ以子に“大阪の味”昆布だしの基本を教えるうどん屋の主人という役どころだった。

「まだまだ活躍できたはずなのに…。それでも、大人気のドラマ2本に出られたんで天国で自慢しているんじゃないかな」(前出のテレビ関係者)

 近年はじゅんさんが事務所を移籍したため、3人で揃うことはなく、最後にレツゴー三匹として舞台に立ったのは、2009年8月30日に大阪松竹座で行われた落語家・三代目桂春蝶(しゅんちょう)の襲名披露公演。3人は「じゅんで~す。長作で~す。三波春夫でございます」のおなじみの自己紹介であいさつし、15年ぶりの漫才を披露し笑いを取った。

 早すぎる死に、レツゴー正児(73)は「家が近く、じゅんの家の前を通って犬の散歩するのが日課でした。ここ最近、仲良くしていて、4、5日前にもじゅんとお茶をしたばかりでした。訃報を聞き、ただただ信じれず涙が止まりません」。

 もう一人のレツゴー長作(70)は「ビックリしました。数年会っておらず一番若いじゅんが一番先にいってしまうなんて。今は実感がありません。つらいとか悲しいとか通り越して、頭の中でじゅんとの思い出が走馬灯のように巡っています」と話した。

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