理研を混乱させた小保方氏「2週間待って」作戦

2014年04月23日 09時00分

もうすぐ有給が終わる小保方氏

「2週間待って!」は、ジラし戦法? 新型万能細胞「STAP細胞」論文をめぐる騒動で、研究不正と認定された理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリーダー(30)が21日、新たな火種を生んだ。小保方氏の代理人は、理研の認定への不服申立書を補充する「不服申立についての理由補充書」を報道陣に公開。再調査をするか否かの審査にさらに2週間の猶予を求めた。この猶予要望により、理研の描くスケジュールに狂いが生じるのは必至だという。

 公開された補充書は理研に提出した文書の要約版。英科学誌「ネイチャー」に投稿された論文では、博士論文の画像の流用が捏造(ねつぞう)と認定された。小保方氏は画像の取り違えと反論し、正しい画像はあると主張。存在しないデータや研究結果を作り上げたのではなく「画像取り違えは、悪意のない間違いである」と不正認定の取り消しを改めて求めた。

 理研の規程では「悪意のない間違い」は研究不正にはならないため、小保方氏は単純ミスを強調していく方針だ。もっとも、今回の補充書は従来の主張と変わりはない。重要な点は、「再調査の審査にあたり、申立人からの不服申立理由補充期間としてさらに2週間の猶予を求める」としていることだ。

 再調査に関する審査結果は当初、先週中にも出ると見込まれたが、先送りされた。今回の「2週間」の根拠は、理研から入手した資料の内容を代理人らが十分検討するための時間。小保方氏は入院中で、代理人と長時間の打ち合わせができない状況にあり、充実したヒアリングのために必要な時間だという。そんな理由を示されては、理研がこの要望を突っぱねるわけにもいかない。

 理研関係者が「そうなると小保方氏の有給休暇は終わってしまう。その後はどうなるのでしょうか」と首をかしげるように、新たな問題が出てくることになる。

 理研関係者によると、小保方氏の有休は今年度は20日間あるという。3月も有休を取っていたので、前年度からの繰り越し分は、ほぼないとみられる。通常は土日祝日休みというので、今年度が始まった1日から計算すれば来週中には有休をすべて使い切ってしまう。

 そうなると休職することになるが、一筋縄ではいかない。前出の理研関係者は「休職の場合は所属長、つまり小保方氏の場合は竹市雅俊センター長に届け出ることになります。しかし、休職の扱いはいろいろあります。現時点ではどれに当たるかは、まったく分かりません」と話す。要するに想定外ということだ。

 小保方氏に適用される「任期制職員給与規程」には、欠勤したらその分の給与を差し引くという大原則の他に、給与減額の適用除外のケースが説明されている。簡単に言うと3つ。業務災害や通勤災害などいわゆる労災の場合。労災ではないが医師の証明がある場合。そして、理研が欠勤をやむを得ないものと認めた場合。この3ケースでは減額されないという。

 理研に巨額の税金が投じられている以上、休職中の小保方氏の給与がどうなるかは重要な問題になる。給与を出したら世論が反発する可能性があり、出さないと小保方氏の代理人から抗議されかねない。また、労災で休んでいる間は解雇されないと労働基準法の定めにあることも駆け引きのポイント。小保方氏の「2週間待って」により、理研には頭の痛い難題が持ち上がっているのだ。

 ほかにも影響は出ている。

 この日、研究不正再発防止のための改革委員会(第三者委員会)が開かれ、今後のスケジュールに狂いが出たことが明かされた。本来なら今月中に話し合いの内容を提言としてまとめる予定だったが、2週間延ばすとゴールデンウイークを越えるのは避けられない。

 岸輝雄委員長は「再調査するのかどうか4月中に分かるのか。それが分からないと最終報告は難しい」と語る。

「2週間の猶予要求」を出して、いきなり理研を戸惑わせている小保方氏サイド。これでは関係者から「今回の補充書は、理研の出方を探る高度な戦術だろう」といった声が出るのも当然といえそうだ。