先週末からワイドショーをジャックしているのは、謝罪会見を開いた“偽ベートーベン”こと佐村河内守氏(50)だ。かなりの時間を割き、各局はこの問題を扱っていたが、一方で“独占インタビュー禁止令”も出されているという。現在、最も大きな話題の主人公なのに一体ナゼ!? その背景には、佐村河内氏が全ろうを装って障害者を冒とくしたことがあげられているが、大きな理由がほかにもあった。それは――。

 先週7日の午前11時から行われた佐村河内氏の謝罪会見は、お昼の各局ワイドショーで生中継されるなど、完全に電波ジャック状態だった。

 ある情報番組のディレクターは「ヤンキースに移籍した田中将大投手の特集を組むより、この問題を扱った方が視聴率の伸びが明らかにいい。だからプロデューサーは前のめりになっていて、会見前日の時点で大展開することが決まっていた」と明かす。

 週が明けてもこの話題で持ちきり。各局とも「謝罪」と銘打ちながら“ゴーストライター”新垣隆氏(43)への反論を連発した“逆ギレ会見”を再検証している。

「会見でも矛盾点が多かった。例えば新垣さんのことを『イエスマン』と評しておきながら、ギャラ交渉時には提示した金額を渋り『新垣さんが値段をつり上げた』と。イエスマンなのに(笑い)。そうした疑問を払拭するためもう一度、佐村河内氏を捕まえようと動いてます」とは某ディレクター。

 ただ、直撃取材はOKでも、じっくり話を聞く独占インタビューは“ある事情”からNGという。テレビ関係者の話。

「この騒動は、某キー局が積極的に動いていて、早い段階で佐村河内氏の独占インタビューにこぎつけていたとか。ところが、土壇場で編成トップから倫理的な問題でストップがかかった。その話が広まり、他局も及び腰になっている」

 倫理的な問題とは?

 別のテレビ関係者いわく「全ろうを装って、障害者を冒とくした罪は重い。そんな男に高額ギャラを支払って独占インタビューを行えば、視聴者から相当な反発が予想される。出演NGは賢明な判断でしょう」。

 同様のケースでは“偽iPS男”こと森口尚史氏(49)の一昨年の騒動が挙げられる。iPS細胞による世界初の心筋移植手術に成功したとホラを吹き、臨床応用法の確立を期待した多くの人を裏切った。森口氏はテレビ東京のバラエティー番組への出演が決まり、収録も済んでいたが、土壇場で、テレ東社長が倫理的な観点から放送を許さなかった。

 佐村河内氏の場合は、さらに震災で苦しむ人たちをも愚弄した。

「津波で母親を失った少女に近付き“感動秘話”に仕立て上げたが、結局は自身の知名度を上げるために利用しただけだった。本人は否定しているが、被災地を回り『震災で親を亡くし、つらい思いをしている子はいないか』と聞いて回っていたのは、紛れもない事実。被災地を侮辱していますよ」(ワイドショー関係者)

 渦中の人物の独占インタビューは魅力的だが、今回のケースはあまりに悪質すぎて、各局は手を出そうにも出せないというわけだ。

 新垣氏に対して訴訟もチラつかせているくらいだから、佐村河内氏は森口氏と同様、世間の評価が変わることは一生ない。