佐村河内氏「逆ギレ提訴宣言」の隠れた狙い

2014年03月08日 20時00分

新垣氏を「訴える」と強気に出た佐村河内氏

“ペテン”の首謀者が共犯者を「名誉毀損」で訴えるという、前代未聞の珍主張ばかりが印象に残った“偽ベートーベン”佐村河内守氏(50)の謝罪会見の恐ろしい舞台裏が見えてきた。7日、都内のホテルで約400人の報道陣を前に「深くおわび申し上げます」と頭を下げた同氏。会見は2時間に及んだが、およそ謝罪とは程遠いものだった。ゴーストライターだったことを告白した桐朋学園大非常勤講師・新垣隆氏(43)を攻撃し、トドメは「名誉毀損で訴えます」。イメージのさらなる悪化を覚悟で訴訟宣言した狙いとは――。

 佐村河内氏が姿を現すと、会場はどよめいた。ロン毛を短くカット、ヒゲをそり落とし、トレードマークのサングラスもなし。つえを突くこともなかったからだ。

 会見の冒頭でCD購入者や演奏会の来場客、テレビ関係者、出版社、ソチ五輪に出場した高橋大輔選手(27)など、一人ひとり名前を挙げ、その都度「深くおわび申し上げます」と謝罪した。

 ところが、新垣氏について話が及ぶと、声を荒らげて糾弾し始めた。

「なぜこのタイミングで暴露したのか、個人的には大きな疑問でした。新垣さんは『何度もやめましょうと言った』としているが、18年間でたったの1度だけ。それも最近のことです」「普通に会話したと言っているが、全くのウソ。それは検査でも明らかです」「私のウソの自伝本の、幼少のころを書いたのは新垣さん」などなど非難のオンパレード。

 ギャラについても、20曲以上を提供し、約700万円を受け取ったという新垣氏に対し「彼が値段をつり上げた。6年間で2曲、3年間で1曲。1曲300万円で彼がOKした」と、暴露の根底に金銭トラブルがあったことをにおわせ、揚げ句の果てには「名誉毀損で訴えます」と宣言したのだ。

 怒りに任せてブチ上げたのかと思いきや、この「訴える」は念入りに準備したものだった可能性が高い。

 数々の詐欺事件を担当したことのある警察関係者は「この手の人物が相手に対して法的措置をチラつかせるのはよくある話。実際に提訴するかはわからないが、相手に『これ以上、余計なことしゃべるなよ!』と圧力をかける意味があったのでしょう」とみる。

 裏を返せば、同氏にはまだバラされたくない疑惑があるということ。事情を知る人物が言葉を選びながら明かす。

「ゴーストライターを辞めたいと申し出た新垣氏を執拗に脅していたという情報もある。桐朋学園大学で非常勤講師を務める同氏に対し『(ゴーストを)辞めたら、大学にいさせなくする』『自分の人脈を使えば簡単だ』などとクギを刺したかと思えば、『辞めたら自殺します』と泣きを入れることもあった。大学に愛着のあった同氏はその言葉に縛られてしまった。クビの恐怖を植え付けることで、新垣氏を支配下に置いたと言っていい」

 これが事実ならば脅迫罪や強要罪に問われてもおかしくはない。佐村河内氏が「訴える」と持ち出したのも、これら疑惑が新たに噴出することを恐れ「名誉毀損」という言葉を武器に、口止めを図ったというのだ。

 ただ、結果的にそれが火に油を注ぐことになった感は否めない。新垣氏の証言とは180度違う会見内容。とても説明責任が果たされたとは言えず、会見終了後、報道陣からは「全く反省していない」「うその上塗りだ」という声が相次いだ。

 表舞台に出るのは「今日が最後」と言う佐村河内氏だが、世間の反応を見る限り、追及はやみそうにない。