【東スポ映画大賞】主演男優賞に輝いた松田龍平(30)が“北野組入り”を熱望した。


 主演作「舟を編む」(石井裕也監督)では、対人コミュニケーションが苦手ながらも辞書作りに没頭する馬締光也(まじめ・みつや)を好演。難しい役柄をサラッと自然にこなしてみせた。


 だが、その裏には人知れず苦労も…。


「地味な役と言ったらアレですけど、なかなか日の当たらない人にどう色をつけていくかが役者の仕事だと思っているんです。それをエンターテインメントとしてどう作っていくか。単に役を演じるのではなく、それ以上のことを考えながら(撮影に)臨みましたね」


 松田にとっても同作は思い入れの深い作品になったようだ。


 たけしとは1999年のデビュー作「御法度」(故大島渚監督)で初共演。たけしのイメージについて「とにかく怖かった印象があります。あの時はたけしさんもお笑いではなく、役者として来ていたので」と語った。


 たけしとは授賞式で、久々に再会。かつて「怖かった」と感じた相手が、この日は「お会いするのが楽しみでした。実際に会って、パワーをもらいました」というから、それも成長の証しなのだろう。


「アウトレイジ」シリーズなど“北野作品”も欠かさず見ているそうで「もしオファーが来たら?」の問いに、松田は「ぜひ!(オファーが)来ればうれしいですし、やってみたいです」と即答。監督業についても「役者をやっている以上、頭の片隅には常にあります」と意欲を見せた。


 寡黙で物静かなイメージの松田だが、ハチャメチャな東スポ映画大賞のノリは新鮮だったようで、終始笑顔。たけしが亡き大島監督との思い出について「大きい声で『ヨーイ、ハイッ!』と叫んだ瞬間、車いすが後ろに下がっていった。ロケットかと思った」と話すと、クールな松田も下を向いて笑いをこらえるのに必死だった。


「千鳥」や「流れ星」のお笑いライブも「面白かったです。こんなにぎやかな映画賞は初めて。正直、人前は苦手なのですが、お笑いライブがあったので、いつもより大丈夫でした(笑い)」


 そんな松田に対して、たけしは「昔よりも風格が出てきた。いろいろな役を演じて『さすが松田!』という役者になってもらいたい」と最大級の賛辞を送った。