スター俳優・萬屋錦之介さん(享年64)の元妻で、11日に食道がんのため死去した昭和の大女優・淡路恵子さん(享年80)の通夜が21日、都内でしめやかに営まれた。戒名は「寳珠院淡路日恵清大姉(ほうじゅいんあわじにっけいせいたいし)」。俳優の宝田明(79)、女優の草笛光子(80)、お笑いコンビ「爆笑問題」ら300人の弔問客があらためてその死を悼んだが、その裏で淡路さんの所属事務所と遺族の間に遺恨が生まれていることが発覚。溝が深まらないか、周囲は心配している。

 両者の間がギクシャクしたのは、淡路さんが亡くなった11日だった。事務所、遺族、双方の関係者談をもとにそのやりとりを再現すると…。

「急いで病院に来てください!」

 同日午前5時、淡路さんの長男で俳優の島英津夫(53)は、淡路さんが入院していた東京・虎の門病院から緊急連絡を受けた。慌てて駆け付けたのは同7時。酸素マスクと点滴の処置を施された姿を見て、島は死期を悟る。そして、そばにいた関係者にこう頼んだ。

「亡くなったら、すぐに私が舞台をしている劇場の隣の寺(仙行寺)に遺体を運んでください」

 病院にもお願いした。

「誰かから病院へ問い合わせがあっても、何も答えないでください」

 そして午後5時24分、淡路さんは息を引き取る。当然、淡路さんの事務所側は知る由もない。

「亡くなったって聞いたんですが、本当ですか」というマスコミの問い合わせで、訃報を突き付けられる。気が動転した事務所関係者は病院に問い合わせたが、島の要望で「守秘義務でお答えできません」の一点張りだ。

 遺体が仙行寺に搬送されたとようやく知り、急行したのは同8時だった。事務所関係者は唇をわなわな震わせる。

「他の人から知らされるなんて、ホントにイヤ。なんで教えてくれなかったの…。ふざけないで!って思った。悔しい」

 無理もない。約17年にわたり、マネジメントしたのに、完全に蚊帳の外だったのだから。電話一本もなかった理由は何なのか? 遺族関係者はこう語って首を振る。

「島さんの最後のわがままだったんです。亡くなった母に、いの一番に会いたいと。(事務所側には)申し訳ないといえば申し訳ないですが…」

 こうして淡路さんを二人三脚で支えていたはずの事務所、遺族の間に勃発した“冷戦”。関係者は「今後、大丈夫なのか? 生前の映像の二次使用とか、権利関係を事務所、遺族のどちらが持つかでモメる場合があるから」と心配している。

 権利の所有について遺族関係者は「まだ決まってない」としており、新たな火種になる可能性もある。「通夜、22日の告別式も遺族サイドがほぼすべて担当したから、遺族側が権利関係を握るのでは」(テレビ関係者)と見られているが…。

 双方が淡路さんを大切に思うからこそ起きた遺恨劇。「あんたたち、何やってんのよ」と天国の淡路さんを怒らせないためには、一日も早く丸く収めるしかない。