全国11の映画祭のディレクターが選考した結果をもとにビートたけし審査委員長(66)が独断で選ぶ「第23回東京スポーツ映画大賞」のノミネートが7日、決定した。この結果をもとに今月下旬、たけし委員長が最終ジャッジを行い「第14回ビートたけしのエンターテインメント賞」と併せて本紙紙面で発表する。授賞式は2月23日、都内のホテルで行われる。

【作品賞】「舟を編む」がトップ。「鑑賞後の心地よさは別格」(しまね映画祭)。続く「そして父になる」には「親子のあり方を問う、丁寧に作り上げた映画」(ふかや映画祭)などの声があった。

 3位の「凶悪」には「近年他に類を見ない出来の社会派サスペンスムービー」(TAMA CINEMA FORUM)と絶賛の声も。続く高畑勲監督の「かぐや姫の物語」は「この物語のためにアニメがあるといっても過言ではない」(三重映画フェスティバル)と評価された。

【監督賞】トップは「そして父になる」の是枝裕和監督(51)。「対極にある家族をバランスよく見せながらも、社会性と情をきちんと描ける演出力はさすが」(周南「絆」映画祭)。2位には「地獄でなぜ悪い」の園子温監督(52)と「ペコロスの母に会いに行く」の森崎東監督(86)が並んだ。園監督には「いつもの作風を守りつつ、予想外のハジけた娯楽映画を作った」(うえだ城下町映画祭)、森崎監督には「一人ひとりの生きざまに敬意を払った愛にあふれたドラマは、これからの高齢化社会に光を与えた」(TAMA CINEMA FORUM)。

【主演男優賞】「舟を編む」の松田龍平(30)が断然の1位。「地味な役どころを存在感ある演技力でしっかりと演じていた」(うえだ城下町映画祭)。2位は「そして父になる」の福山雅治(44)と「許されざる者」の渡辺謙(54)。福山には「この演技なくして作品は完成しなかった」(ながおか映画祭)、渡辺には「狂気を爆発させる瞬発力はさすが」(周南「絆」映画祭)。

【主演女優賞】「さよなら渓谷」の真木よう子(31)が圧倒的な票数を獲得。「女の弱さ、強さ、醜さ、そして美しさの全てを見事に表現している」(あきる野映画祭)。

 2位は満島ひかり(28)で「美しさと危うさの中に強い意志を感じる」(ふかや映画祭)。3位の前田敦子(22)には「アイドルをかなぐり捨てた存在感」(とよはしまちなかスロータウン映画祭)との声があった。

【助演男優賞】ここも大差でリリー・フランキー(50)がトップ。「いやらしくなく演じられる。俳優としても素晴らしい」(@ffあおもり映画祭)。ピエール瀧(46)は大きく離れた2位だが「今年の日本映画で最高の演技だった」(SKIPシティ国際Dシネマ映画祭)と絶賛の声。

【助演女優賞】混戦ムードのなか、二階堂ふみ(19)がトップ。「勢いを感じる女優」(三重映画フェスティバル)。2位は池脇千鶴(32)で「繊細な演じ分けのできる素晴らしい女優」(SKIPシティ国際Dシネマ映画祭)。

【新人賞】黒木華(23)が1位だが、2位の“ポスト壇蜜”佐々木心音(23)が注目される。「全裸の演技も新人とは思えぬ堂々としたもの」(うえだ城下町映画祭)

【外国作品賞】「きっと、うまくいく」と「ゼロ・グラビティ」が1位に並んでいるが、他の作品も差はなく混戦となっている。

<審査に参加した全国11の映画祭>=@ffあおもり映画祭、あきる野映画祭、うえだ城下町映画祭、しまね映画祭、周南「絆」映画祭、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭、TAMA CINEMA FORUM、とよはしまちなかスロータウン映画祭、ながおか映画祭、ふかや映画祭、三重映画フェスティバル(五十音順)