3日に死去した人気タレントで歌手のやしきたかじんさん(享年64)と親交の深かった橋下徹大阪市長(44=日本維新の会)が8日、大阪市役所内で取材に対応した。

 たかじんさんは橋下氏が2008年に大阪府知事選に出馬する際に後押しをし、政治家「橋下徹」の生みの親でもある。当時の思い出をこう語った。

「38歳で知事に当選できるなんていうのは、たかじんさんの番組で顔と名前を広く知ってもらっていたから。それだけで当選したようなもんですから。その際にも『仮に2期やっても46歳なんだから。やれるならやった方がいい』とたかじんさんも自分の人生を振り返りながら話してくれて立候補した」

 たかじんさんが昨年3月に復帰した際、橋下氏は「たかじんnoマネー」(テレビ大阪)に出演。その後、たかじんさんの自宅を訪問したのが、最後の対面になってしまった。

 話した内容については「こういう状況ですから公にすることではない」と多くを語らなかった。それでも「大阪をよくしたいという気持ちは強かった。一緒に話せば大阪の話がほとんどですからね」。たかじんさんは胸の内で常に大阪の未来を案じていたという。

 死去したたかじんさんに手を合わせたかと問われると「差し控えさしてください」と話すにとどまったが、対面していた可能性が高い。

 普段は理路整然と話す橋下氏が、この日は時系列や記憶があいまいになるなど動揺を隠し切れなかった。たかじんさんの好きなところを問われると「優しいです…。強いですし…」と言葉を詰まらせ、もし会えるなら話したいことはとの質問には「いろいろありすぎます」と目頭を押さえた。

「非常に残念ですね。お元気になられるということを、ずっと願っていました。ご冥福をお祈りいたしたいと思います」と橋下氏は故人をしのび大粒の涙を流した。