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地井さん〝散歩の見せ方〟にもこだわり


 名優・地井武男さんが6月29日朝、心不全のため都内の病院で死去。70歳だった。人情味あふれる演技で存在感を示す一方、バラエティー番組で付けられた「ちいちい」の愛称もお茶の間に定着。近年、人気を博していた散歩番組の現場秘話など、地井さんの人柄がうかがえるエピソードを一挙公開する――。

 

 2月に体調不良で出演を断念するまで実に6年間(1500回以上)、続けていたのが「ちい散歩(関東ローカル)」だ。散歩ブームに火を付けた同番組には、「ブランコ好きで見つけたら必ず乗る」「食べ物は店の前で食べる」など、地井さんのこだわりが詰まっていた。

 

 制作会社スタッフが振り返る。「台本にない、ちょっとした出会いとか偶然とかも大事にしてました。カメラマンはじめスタッフをすごく大事にし、そうやって現場の雰囲気作りを率先してやってたのが地井さん。当然スタッフ受けもよかった」

 

 テレビ関係者によれば「散歩の道中で、団子とかおいしそうなものを売ってる店があったら、スタッフの分まで買って『仕事なんていいから食え食え!』って。撮影中のカメラマンにまで勧めるから、撮影が中断したことも。でも途中からカメラマンに〝おすそわけ〟するシーンが〝名物〟になるんですが…」。

 

 番組の見せ方にもこだわりをもっていた。前出スタッフの証言。

 

「やっぱり散歩なんです。だから自分が歩いているところを(前方から)見せるのを嫌ってました。地井さんの後ろからカメラが付いていくんです。これは地井さんが常にカメラマンに言っていたことで、番組を作る上で一番こだわっていたとか」

 

 役者としての評価も高く、これは前出関係者が明かす。「クランクイン前までに台本熟読は当たり前。自分のイメージする役柄と、監督のイメージする役柄が同じになるまで、何度も議論を重ねるので有名だった。意外と“なあなあ”な気持ちでクランクインする役者が多い中、地井さんは監督と何度もすり合わせるから、わだかまりなく撮影に臨めた」

 

 

「北の国から 2002 遺言」では、愛する妻のがんが再発し、号泣するシーンはファンの間でも語り草。収録数か月前に地井さんは実際に妻を乳がんで亡くしている。酷な撮影であったことは想像に難くなく、そのことを思い出して涙が止まらなくなり、NGを出してしまったという。また「台本と自身の状況が重なりすぎるとうまくいかないことも多い」(映画関係者)ともいわれるが、そのいずれをも超越した迫真の演技に誰もが涙した。共演した田中邦衛(79)も、追悼コメントで「『遺言』のシーンが思い出されて…」とふれている。

 

 こうした名優のスタンスを尊敬しているのが、ドラマ「刑事貴族2」(日テレ系、91年)で共演した水谷豊(59)だ。自身の代表作「相棒」シリーズの現場でも「地井さんからいろいろ勉強させてもらった」と話していたという。ほかにも影響を受けた俳優は数え切れない。

 

 プロ意識が高かった地井さんは体調管理も怠らなかった。プライベートでもよく〝ちい散歩〟をしていたというのだが…。合掌。

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