宮崎駿監督の引退会見をイベントにしたジブリの戦略

2013年09月08日 16時00分

多くの報道陣が集まった宮崎監督引退会見

 長編映画製作からの引退を表明した宮崎駿監督(72)が6日、都内で引退会見を行った。これまで何度も引退をほのめかしては撤回し“オオカミ少年化”していたが、「今回は本気です」と本人はニヤけ、「加齢はどうすることもできない。僕の長編アニメーションの時代はハッキリ終わったんだと思います」。

 世界的に有名な“アニメ界の巨匠”の幕引きとあり、会場には13か国の海外メディアを含む605人が詰め掛けた。「こんなに海外メディアが取材に来るのはトム・クルーズの来日くらい」と映画関係者もビックリ。当人は「こんなイベントをやる気はさらさらなかった」が、大々的な会見にしたのは「スタジオジブリ」側の狙いとみられる。

 既に監督の引退はさる1日、ジブリの星野康二社長(57)がベネチア国際映画祭で発表している。「ベネチアなら世界的に注目を浴びるから、発表の場に選んだんだろう」(前同)

 そして迎えた引退会見の冒頭、監督の盟友・鈴木敏夫プロデューサー(65)は「11月23日公開の、高畑勲監督の『かぐや姫の物語』。続きまして、まだ企画その他は発表できないんですけれど、来年の夏を目指して映画を製作中です」と、現在ジブリで製作中の映画について触れた。

「世界の注目を浴びる会見を、完全に宣伝の場にした。会見では『かぐや姫』って何回も言ってたし(笑い)。でもそれくらい、宮崎さん引退後のジブリが心配なんだよ」と同関係者は指摘する。また、ジブリ作品は欧米などでもDVDが売られており「世界に発信したこの会見は、海外のDVD売り上げ増も狙ったんだろう」。

 ジブリ作品は「大ヒット続き」と言われるが、実際100億円以上の興行収入を得たのは、最近は宮崎監督の作品だけだ。聞けば「特に一昨年、息子・宮崎吾朗監督の『コクリコ坂から』が興収約45億円と低迷したのが危機感となっているようだ」とのこと。

 今後は後進の作品に監修やアドバイザーとして関わることも「ありません」と言い切った宮崎監督。ジブリの若手には「やっと上の重しがなくなるんだから“こういうものをやらせろ”って声が鈴木さんに届くことを願っている」と奮起を促した。