【ヤマカン×中村×伊藤「風立ちぬ」鼎談②】宮崎監督 少女への本音も出して

2013年09月05日 16時30分

賛否あった庵野監督の声優起用

 アニメ界の巨匠・宮崎駿監督(72)"最後の長編作品”「風立ちぬ」について新作「Wake Up, Girls!」が控える山本寛監督(39)、「ねらわれた学園」「あいうら」の中村亮介監督(37)、「ソードアート・オンライン」「銀の匙 Silver Spoon」の伊藤智彦監督(34)が語る特別鼎談の後編。プロの目から見ても分からない演出に加え、同作最大の論点である庵野秀明監督(53)の声優起用の是非。さらに宮崎駿監督の後継問題など今後のジブリの行方についても勝手に予想する、東スポWebならではの濃い内容です。【前編はこちら

 

 

 

人の声を効果音に使った謎

 

 

――作品自体では印象的なシーンはありましたか

 

中村:たくさんありましたけど、結婚式の廊下を菜穂子が渡ってくる長いワンカット。あれはいいなあ。

 

伊藤:惜しむらくは二郎はあの姿を見ていないんですよね。

 

中村:その同ポジションが、菜穂子が家を去る際にまた出てくる。よくある演出なんですけど、見てる僕らはその場所に思い入れしてますからね。くどくどとカットを積んで語られるより、それだけでも思いは十分に伝わってくるし、ぐっとくる。この気負いのなさがいいなあって。僕自身いま自分が演出について考えていることがあって、なるべくなら「はい、ここで感動してください」みたいは、フラグというのかな。わかりやすくするための、見え見えの誘導はしたくないという思いがあって。

 

――自分のやりたいことに近かったわけですね

 

中村:そうですね。僕も伊藤くんもマッドハウス出身ですけど、マッドは良くも悪くも演出過剰だとは思うんです。どうだ面白いだろう、血が沸くだろう、感動しただろう、ってとにかく演出で押す。それは僕にも染み付いていて、ずっとそれを良しとして仕事してきたんですけど、最近になって自分は変わってきて。そこに限界を感じているところなんです。そうした中で「風立ちぬ」を見て、まだ未整理なんですけど、なるほどねって思うところが多くて。自分の話で恐縮ですけど。

 

伊藤:人の声で効果音をしていますよね。どう思いました。

 

中村:あれは面白いね。こうやって自分の手で飛行機の模型を持って、ブーンって音をつける気持ち。だからボイスなんでしょうね。でもかなり効果音に近い形にミキシングされてて、どうせやるんだったらもっと生音に近くても面白かったのでは。

 

伊藤:飛行機は意図がわかったんですけど、地震は何ででしょ。

 

中村:それは分からないですね。自然現象を人間的にとらえてるんですかね。人間的ってことは、自然に意思があるってことになっちゃうから、違う気もするんですけど。誰か説明してくれればすっきりするなあ。

 

伊藤:声でいえば、モブ(群集)の音も一切排除していますね。

 

中村:それも好みでしたね。作品の中で音をどう聞かせたいのかはっきりしている。これは主観的な映画なんですよ、ということですね。

 

<次のページに続く>

【次のページ】細かい突っ込みどころはあれど、それが何だという作品