新藤作品「追悼放送」できない理由

2012年06月10日 12時00分

 老衰のため100歳で死去した映画監督、新藤兼人さん。普通ならテレビで過去の代表作を「追悼放送」するのが当然のはず。だが、BSやCSでの放送はあるものの地上波では1本も放送予定はない。これは新藤監督が生涯を通し、独立プロで映画を作り続けたことが影響しているという。

 新藤監督は大手の松竹を退社し、1950年に独立プロ「近代映画協会」を設立。それ以来60年以上にわたり、インディペンデントで映画を作り続けた。その中には「第五福竜丸」や「原爆の子」など、反戦や反核をテーマにした作品も多い。

 映画関係者は「最近の大手映画会社が作る作品は、テレビ局がスポンサーとなり資金を出すケースが多い。テレビにとっては東京電力をはじめ電力会社はいまだに大スポンサー。『反核』を掲げる新藤監督は〝反原子力〟、〝反原発〟の立場だから協力できないんですよ。特に今は、大飯原発の再稼動について揺れに揺れている時期ですからね」と指摘する。

 権力と戦い続けた新藤監督の作品に、テレビ局がスポンサーになったものなどは皆無。それだけに亡くなっても「追悼放送」として代表作を地上波でオンエアするテレビ局はないというわけだ。