福山雅治から「父性」引き出した是枝監督の作戦

2013年06月01日 16時00分

 監督作「そして父になる」が第66回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で審査員賞を受賞した是枝裕和監督(50)が5月28日帰国し、成田空港で開口一番「大騒ぎになっていることに驚いた」と笑顔を見せた。受賞後、審査員長のスティーブン・スピルバーグ監督から「上映後からずっと何か賞を与えたいと思っていた」と明かされたエピソードも披露。「海外では血縁関係のない親子が多くテーマを身近に感じてもらえたのでは」と振り返った。

 実は、主演に福山雅治(44)が決まった当初「親子愛を描く物語なのに独身の福山に父親が演じられるのか」など、厳しい意見が噴出していた。これに是枝監督は逆風をはね返そうと躍起になった。

 製作スタッフは「福山とリリー・フランキーのそれぞれの子供役には台本を渡さず、作品内容や人物設定とかを口頭で伝えた。思うがままの返答、反応に任せ、素を引き出すことで、福山に“疑似親子”の感覚を味わってもらい、父性を引き出した」と言う。

 福山には「エリートで嫌みな父親という設定だから『撮影中、子役と目を合わせないように』『上から物言うイメージで』などと細かく演出した」と映画関係者。こうして昨年3月から3か月間の撮影で、福山は父親らしくなり“化学反応”が生まれた。

「福山から『このセリフはこう変えた方がいいのでは』といった案が出てきて、監督も『そうしよう』と柔軟に取り入れた」(前出スタッフ)

 言わば“父親初心者”の福山と、福山に父性を芽生えさせた是枝監督の共同作業だったわけだ。当の福山は「監督が日本に戻られたらみんなでお祝いしたい」と喜びを爆発させている。