17日に都内の病院で肺炎のため死去したロックミュージシャン・内田裕也さん(享年79)の「ロックな伝説」はまだまだあった。トラブルメーカーながら、誰にも分け隔てなく接する人でもあった。半年前に亡くなった女優の樹木希林さん(享年75)と結婚しながら、家に帰らず外に女性を欠かしたことがなかった。それでも“最期”は希林さんの後を追うかのように亡くなった。“矛盾”だらけの人物像に迫る。

 晩年は長い間、闘病生活を送っていた裕也さんの装いといえば、上下ジャージー姿が多かった。ジャージーながらも、実は1つ“おしゃれポイント”があったという。

「外出する時は、ジャージーの上にはヨウジヤマモトのジャケットを羽織っていたんです」とは芸能関係者。ヨウジヤマモトといえば、日本を代表するファッションブランドで、国内のみならず世界にもファンが多い。

「全身、ヨウジヤマモトで固めるより、あえてジャージーに羽織ることが裕也さんの『ロック魂』を感じさせた。あのコーディネートは、おしゃれ上級者でもなかなかできない。既成の価値観をぶち壊し続けてきた裕也さんだからできるスタイル」(前出の芸能関係者)

 この世を去るまで、ファッションも生涯、ロックだった。

 また、常に発言者として芸能界のみならず、政治、社会などあらゆる場面で大きな声を上げてきた裕也さんだったが、食事時のマイルールは「ビー・クワイエット!」。公共の場での食事は、周囲に迷惑を掛けないように静かだった。ところが、こんなハチャメチャエピソードも…。

「自宅近くにある有名人御用達の焼き肉店で裕也さんは食事をしていたそうなんですが、少し離れた卓のお客が騒々しくしていると、そこまでツカツカと歩いて行って『静かにしろ、バカやろう!』と大声で一喝した」(別の芸能関係者)と。その声は、ほかの誰よりも大きかったという。

 本紙記者も裕也さんを都内のホテルのラウンジで取材した際、ウエーターが銀のおぼんを誤って床に落とし大きな音を立てると「バカやろう! 静かにしろよ」と怒鳴るところを目にした。こんな姿もロックな裕也さんならではだった。

 また、親しい音楽プロデューサーは「仕事の上ではコワモテでしたね。といっても、内田さんは腕力に自信がないから、いつも今は亡き安岡力也さんや、ボクサー経験もある故ジョー山中さんら、屈強な人たちがボディーガード代わりに付いていた。だから、相手がビビるんですよ」と語る。

 その一方、裕也さんは難民救済のためアフガニスタンをジョー山中さんと訪問。難民の子供たちの前で歌を披露。地道にボランティア活動を続けていたこともあった。