コカインを摂取したとして、麻薬取締法違反の疑いで厚生労働省関東信越厚生局麻薬取締部(通称・マトリ)に逮捕されたミュージシャンで俳優のピエール瀧こと瀧正則容疑者(51)は14日朝、送検された。今後は入手ルートなど、厳しい取り調べを受けることが予想される。そうしたなか瀧容疑者は、元プロ野球選手の清原和博氏(51)を以前から「大好き!」と公言していたことが発覚。くしくも憧れの人と同じく“薬物逮捕”という道をたどることになってしまった――。

 NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」など、多くのドラマや映画に出演している瀧容疑者を巡り、出演作の関係者は対応に追われている。

 NHKは、総合で16日昼に再放送予定の大河ドラマ「いだてん」第10話について、瀧容疑者の出演シーンをカットすると発表。BSプレミアムで24日に放送予定だった連続テレビ小説「あまちゃん総集編」の後編にも出演シーンがあるため、別の番組に差し替えるという。

 また、瀧容疑者が出演していた映画「居眠り磐音」は、予定通り5月17日に全国公開することが決定。同作は1年前に撮り終えていたが「当該出演箇所を撮り直し、差し替える」「代役の出演者については改めて発表」としている。

 対応策を発表した製作委員会は「公開を楽しみにしてくださっている皆様に、ご満足いただける作品をお届けするべく、スタッフ一同取り組んでまいります。引き続きのご支援・ご鞭撻をお願い申し上げます」と理解を求めた。

 有名人の薬物事件としては、2016年2月に覚醒剤取締法違反容疑で逮捕された清原和博氏の例が近年では衝撃度が大きかった。瀧容疑者は以前から、清原氏のファンであることを公言していたという。

 瀧容疑者と清原氏は同学年。1967年8月18日生まれの清原氏に対し、瀧容疑者は同年4月8日生まれ。しかも、高校時代、瀧容疑者も野球部に所属していた。

 静岡東高校に通った瀧容疑者は、甲子園出場を目指し、野球に打ち込む一方、練習が終わると、後に電気グルーヴをともに結成する石野卓球の部屋で“音楽漬け”の日々を送った。

 片や、高校時代はPL学園に在籍し、桑田真澄氏とともに“KKコンビ”といわれた清原氏は、同学年の高校球児である瀧容疑者にとって憧れの存在となったのは当然のことだろう。

 清原氏とは違い、甲子園出場は果たせなかった瀧容疑者だが、どうしても甲子園でプレーしたかったため、甲子園を本拠地とする阪神タイガースの入団テストを受験したというエピソードもある。瀧容疑者の草野球チーム名「ピエール学園」はPL学園を想起させる。

 あるテレビ局関係者は「清原氏が逮捕される前のことですが、瀧容疑者が『なぜ清原が好きなのか』という点について、自身がレギュラー出演するTBSのラジオ番組『たまむすび』で明かしたことがある」と指摘。その内容とは「瀧容疑者は『非の打ちどころがないと多分好きになってない。清原って、絶妙にダサいからいい』と言っていた」。

 それほど好きだった清原氏の後を追ったわけではないだろうが、自身も薬物に手を出してしまった瀧容疑者。覚醒剤とコカインの違いはあるが、ここで似た失敗を犯してしまったのは何かの因縁なのかもしれない。

 清原氏は今月6日、厚生労働省が主催する依存症の理解を深めるための普及啓発イベント「誤解だらけの“依存症”in東京」に登場。厚生労働省からオファーを受けたことに「自分は逮捕されて3年になるんですが、コツコツと治療してきてですね。厚生労働省に認めていただいたのかと思うと、すごくうれしい気持ち」と語った。

 くしくも瀧容疑者は、厚生労働省の管轄であるマトリに逮捕された。いずれは清原氏とともに、薬物依存治療に取り組むことになるかもしれない。