関東信越厚生局麻薬取締部(通称・マトリ)12日、麻薬取締法違反(使用)の疑いでミュージシャンで俳優のピエール瀧こと本名・瀧正則容疑者(51)を逮捕した。瀧容疑者は13日午前3時24分、東京・千代田区の麻薬取締部を出て、捜査車両で留置場がある警視庁湾岸署へ移送された。約60人の報道陣が見守るなか、フラッシュの光に浮かび上がった瀧容疑者は、後部座席の中央に座り、メガネをかけ、ベージュのダウンジャケット姿で、観念したように目を閉じていた。

 瀧容疑者の逮捕を受け、レギュラー番組や出演ドラマを抱えるテレビ局やラジオ局、映画会社は対応に追われることになった。

 特に大河ドラマ「いだてん」を放送中のNHKは大慌て。毎話、一度は出番のある重要な役どころで、すでに撮り終えているとみられる出演部分を急きょカットするなどの対応が迫られる。

「突然の逮捕で局内は完全に大パニック状態。脚本上、かなり重要な役回りのため、なかには前代未聞の17日の放送中止もあるんじゃないかとささやかれているほど。番組スタッフはてんやわんやで、電話も取れないほどだ」(NHK関係者)

「いだてん」は10日の第10話が関東地区で視聴率8・7%と最低の数字を記録し、5週連続で1桁が続く。瀧容疑者の逮捕はそれに追い打ちをかけるような不祥事だ。

 瀧容疑者は「電気グルーヴ」として30周年の記念ツアー中で、15~16日には都内で公演が予定されているが、逮捕により中止になる公算が大きい。5月には出演映画「居眠り磐音」(主演・松坂桃李)の公開も控えているが、これも先行きが危うくなった。

 ほかにも過去の出演作のDVD販売や2次使用などにも影響が出るのは必至。先月、強制性交罪で起訴された俳優の新井浩文被告(40)は違約金5億円規模と報じられたが、瀧容疑者の場合はそれをはるかに上回る10億円は下らないとみられているだけに、芸能界への影響は甚大だ。